視察報告-守谷市・盛岡市

出張者:森山きよみ・大森 忍・中原ちから・平山タカヒサ


【日程】   2019年1月15(火)10:00~

【場所】   茨城県守谷市

【対応者】  教育委員会委員長 、教育委員会次長兼生涯学習課課長、生涯学習課係長

 

【調査概要】 守谷中央図書館の民間への委託から直営に戻すに至った件について 

 

(1) 共同事業体に委託した経緯とその後

平成14年度     「行政改革推進のための実施計画」を策定
平成19年度     「守谷市公の施設の指定管理者等検討ワーキングチーム」立ち上げ
平成19年9月28日   守谷市図書館の指定管理者制度の導入について(諮問)
平成20年1月18日    守谷市図書館の指定管理者制度の導入について(中間答申)
            ▶導入に同意できないこと及び継続検討とする内容
平成22年2月26日    守谷図書館の指定管理者制度の導入について(答申)
            ▶導入に同意できない旨の内容
平成25年度      第6次行政改革大綱」制定
            行政改革推進を受けて、守谷市立図書館においても「民間でできることは民間で」の

            考えのもと、質の高い行政サービスの提供と行政経費削減のため、指定管理者制度導

            入を視野に入れた効率かつ効果的な運営体制づくりを検討する。
平成26年8月26日    守谷市図書館の指定管理者制度導入について(諮問)
平成27年2月19日    守谷市図書館の指定管理者制度導入について(答申)
            ▶条件付きで同意する内容
平成27年6月19日    付帯決議を付して、守谷市図書館等の設置及び管理に関する条例を改正
平成28年度       図書館流通センター・常総ビル整美共同事業体と指定管理の協定を締結し、

            図書館運営を開始(指定期間3年間)
平成28年11月2日    ①運営に対する評価②平成31年度からの運営体制について、図書館協議会へ諮問
平成30年2月15日   「平成31年度からの運営体制については、現在の経費を上回ることなく市民サービスの
            水準を維持することを前提として、直営もしくは一部業務委託による直営とすること」
            (答申)
    
(2) 事業内容
① 図書館等の方針
ア:図書館と市民との協働
イ:図書館資料サービスの充実と利用しやすい館内の環境整備
ウ:子ども読書活動の推進の取り組み

② サービスの概要

資料の収集、貸出、予約・リクエスト、相互貸借、レファレン
スサービス、コピーサービス、障がい者サービス、児童サービ
ス、学校図書館との連携、団体貸出、ボランティア活動、集会
施設の利用、AVブース・インターネットブースの利用、書籍
消毒器(ブックシャワー)の利用、守谷市電子図書館の利用、
育児コンシェルジュの利用、主な行事(子ども読書まつり、図
書館まつり、ブックスタート、おはなし会・ボランティア養成
など)※ブックシャワー、紫外線を使い書籍を殺菌消毒し、本
に風を当てて、挟まったゴミや匂いを取る機械(写真参考)

 

 

 

 

 

(3)指定管理新規導入サービス利用状況(H28~30)

 

(4) 事業費について

指定管理協定額(当初予算額)
平成28年度:116,493千円(192,545千円)
平成29年度:126,528千円(182,164千円)
平成30年度:126,528千円(187,729千円)


(5) 委託運営での成果と課題
直営(H27)と指定管理者(H29)の比較
ア 開館時間:9:30~18:00→9:00~19:00
イ 開館日数:289日→343日(+54日)
ウ 来館者数:80,910人増加
エ 貸出者数:34,552人増加
オ 貸出点数:132,670点増加

(6)民間への委託から直営に戻すに至った(守谷市図書館協議会での議論経過)
指定管理者による運営に移行して以来、レファレンスサービスの低下が課題となっている。また、接遇面において、指定管理者を評価する一方、マナー違反者への対応が不十分である。過剰なサービスは不要などの意見が見られる。また、運営開始当初に館長及びスタッフの退職等が相次ぎ(50人中10名)運営が不安定な時期が続いたこともあり、市民や市議会から第三者機関による図書館の評価を強く望む意見が出された。
それらを受け、図書館法の定めや文科省が示す図書館の設置及び運営に関する基準合致するものであるため、図書館協議会が指定管理者の運営を評価する第三者委員会として、評価担うことが適当との判断の下、平成28年度11月2日に教育委員会から図書館協議会を第三者機関と位置づけ、①守谷市図書館等の運営に対する評価について②守谷市図書館等の平成31年度からの運営体制についての諮問が出された。
諮問を受け、全6回にわたる会議及び指定管理者訪問等を実施し、様々な根拠資料の分析とヒアリング結果をもとに、平成30年2月15日に答申結果を教育委員会に提出、平成31年度からの運営体制については、現在の経費を上回ることなく、市民サービスの水準を維持することを前提として、直営もしくは一部業務委託による直営とすることであった。

(7)今後の事業の方向性
運営を直営に戻す決定の大きな理由の一つである学校図書館と図書館の連携においては、31年度からの運営において重要な位置を占める事業となることから準備を進めている。直営時代には、学校図書館の整備や支援、第二次子ども読書活動推進計画に対する取り組みが評価され、文部科学大臣表彰を受けるなど、他市に引けを取らない実績があることから、これらの経験を持つ正規職員が業務に従事し、さらなる連携の強化を目指すとのこと。また、指定管理者が導入した新規サービスの中で、来年度以降も継続を予定しているサービスにおいても、利用者の意見や今後の利用状況等を考慮し精査いさしていくとのこと。

 

≪所感≫

 平成15年の地公法改正により、指定管理者制度が運用され始め約15年が経過しており、本市においても、2巡3巡目に入っている施設も散見される。守谷市の判断はそんな行革の流れに逆行するものと言える。全国的に指定管理者制度により民間のノウハウやアイデアが流入した結果、ユニークな特徴を打ち出した公共施設が登場した。その反面、コスト削減に傾注する自治体が増加し、安値入札が繰り返され、本来の目的である効率的な運営や市民サービスの向上の達成どころか、逆に行き過ぎたコスト削減傾向により安全面やサービスの低下、入札に参加する事業者の減等の課題も散見されるようになっている。守谷市においては、指定管理者制度を図書館へ導入した結果、来館者数や貸出点数などは増加したにもかかわらず、レファレンスサービスの低下や相次ぐ職員の退職などの問題が指摘され、第三者機関による評価を行い、その結果、再び直営に戻されることとなった。この発端となったのが、市民や議会からの意見であったと聞く。上記した、問題等がどの程度だったのかという事もあろうが、守谷市として、速やかに対処した点においては一定評価できる。直営に戻したと言うのは、あくまで問題等の解決のための守谷市が下した判断であり、重要なのは、公共施設の設置目的を達成するのはどういった手段が良いのか、しっかりと整理し決断をすることではないかと考える。


 

 

【日時】   2019年1月16日(水)10:00~

【場所】   盛岡市
                           
【対応者】  市長公室企画調整課主任、市長公室都市戦略室室長
        こども未来部子育てあんしん課課長、こども未来部子育てあんしん課育成係長

【調査事項】 盛岡市子ども・子育て支援計画について


【調査概要】

1 事業概要
 平成27年3月策定の「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」において、保育ニーズに対応した必要な提供体制を確保し、待機児童解消を図ることとし、特に、量(定員)の拡大と保育士確保の2つの面から取組みを行っている。

2 事業実施状況
(1)保育定員の確保
 ① 認定こども園の普及
   私立幼稚園25園中9園移行済み(うち3園は補助により整備)
   (幼保連携型7、幼稚園型2)
 ② 保育所の新設・改修
   新設5園(うち3園は補助により整備)
   公立園の民営化による新設1園(定員10人増)
 ③ 地域型保育事業の導入(0~2歳の小規模保育施設)※後述
   新規9施設(うち2施設ほ補助により整備)
 ④ 認可外保育施設の認可化への移行支援
   8施設が地域型保育事業へ移行

(2)保育士の確保
 ① 国の処遇改善について実施
 ② H29年4月より奨学金返還支援事業(市単)」実施
   月額1/2上限7,000円3年間(市外者も可)
 ③ H30年11月より「宿舎借り上げ支援事業(補助)」実施※後述
 ④ H30年度より潜在保育士を対象に「保育体験」を実施
   県保育士保育所支援センター登録保育士を対象に1回2日の体験保育

3 事業実施の成果と課題
(1)成果
 ① 保育定員
   平成27年度から30年度までで、4月1日時点の保育定数が662人分増加
 ② 保育所の入所状況
   平成27年度から30年度までで、4月1日時点の就学前児童人口に占める保育定員率が41.9%から49.4%と7.5ポイント増加。
   入所率は100.0%から97.4%と2.6ポイント減。年度途中の入所者を見込み施設により枠確保のための調整有り
(2)課題
 ① 保育需要が高まっている中、どの程度定員拡大が必要か、想定が困難
 ② 賃金水準の比較的高い首都圏への人材流出が見られ、保育士確保が困難

4 待機児童の実態
 平成28年度以降4月1日時点の待機児童数は0人だが、潜在的待機児童数は250人超えている。また、年度途中に待機児童が発生する状況があり、年間を通して待機児童解消に至っていない。

5 小規模保育園新設の経過と補助内容及び財源内訳(国の補助等の有無)
(1)内容
 民設民営方式で、場所(遊休物件等)の選定を市が行い、整備費の一部及び運営期間5カ年度を上限に、土地・建物の借上げに要する費用の全部を市が負担するもの。

(2)事業費及び財源内訳(2園分)


(3)その他
 開設準備のための外交工事や備品購入、消耗品等として事業費の3/4(予算額4,411千円)を市単独補助。仲介手数料や開催保険料も対象とする。

6 保育士宿舎借り上げ支援の内容と財源内訳(国の補助等の有無)
(1)内容
 保育士のアパート等を借り上げるための費用を補助し、経済的支援を行い、保育士の人材確保と雇用継続支援を図る。

(2)対象となる保育士
 採用から5年目までの保育士

(3)対象経費
 月額賃借料、共益費、管理費、更新手数料(上限額:1月当たり5万5千円)
 ※新採用3年目までの保育士の賃借料の月額家賃の平均55,695円(H29.10調査)

(4)補助額
 対象経費の3/4以内の額を事業者へ支給(支給規定の明確化を指導)

(5)事業費及び財源内訳 


7 今後の事業の方向性
(1)北所定員の拡大
 年間を通して待機児童を0とするため、小規模保育所等の施設整備に対する支援及び保育所定員弾力化補助制度の実施による受け入れ定員の拡大

(2)保育士確保の取組みの充実
 現行の事業を継続するとともに、新規事業について保育関係者から意見を聴取し、予算化を目指す。

≪所感≫

 待機児童解消の取組みとして、国の補助制度を活用し積極的に取組んでいる。本市においても、「新設保育園」や「幼保連携型認定こども園」の整備や、「認可外保育園の認可化」、「子ども子育て支援センター」による就労のためのマッチングなど取組んでいるが、保育士への給付事業は取組まれていない。
 盛岡市では、平成28年度からの「奨学金返還支援事業(市単)」や平成30年11月からの「宿舎借上げ事業(補助)」のように、保育士の家計負担を直接軽減することにより、保育士を確保しようとしている。比較的賃金水準の高い首都圏が近いということも事業開始の要因と言われていたが、本市においても貴重な人材を県外へ流出することを防ぐことにもつながることから、事業導入を要請したい。
 また、「小規模保育園新設」事業については、対象児童を絞り込み遊休物件を市が選定することによる空き店舗解消による地域活性化にも寄与することが推測される事業であることが、本市における待機児童の状況に適合するものかどうかから、検討する必要があると考える。




【調査概要】 関係人口の増加を基軸とした移住・定住・交流人口対策事業について

【調査概要】

1 取組みの背景
(1)東京への人口集中と人口減少地域の増加

(2)東京圏への転入超過(大半が10代後半、20代の若者)

(3)盛岡市の人口動態 人口減少△1,100人/年間(自然減△700人 社会減△400)

(4)東京圏・宮城県へ転出した方を対象としたアンケート調査
 →「転出後も盛岡と関わりを持ちたいと思っている」の回答が約8割
  東京圏での盛岡関連のお店や場所の情報、盛岡に関連する情報を求める声が多い

2 目指す将来像
(1)「その地域に居住していないものの、出身者や勤務経験者であるなど、その地域との継続的な関わりがある人」という関係人口の考え方に重点を置き、東京圏での知識や経験を蓄積した若年層(概ね20~39歳)の盛岡への人口の還流を促進

(2)コミュニティに関わるキーパーソンの育成やふるさと納税を行うなど能動的に行動を起こす人の質的な充実を図ることで、移住・定住による人口の増加や交流人口の増加によるまちの賑わいを創出し「魅力あと求心力がある東北の中核都市」の実現を目指す

3 構造的な課題
(1)10~39歳の社会増減は、転出超過が年々拡大。転出者の約3割が東京圏

(2)転出者へのアンケートから、「Uターン希望」が約5割。そのうち約8割が情報収集などの行動に出ていない現状。盛岡に関連する情報提供のニーズが高いが情報が行き届いていいない。

(3)東京圏において、「盛岡」に関するキーワードで活動している事例があるが広がりに限界があり、盛岡で活動する際もキーパーソンとつながる機会が少なく、再訪の機会を失っている

(4)高校生や大学生等を対象とした調査によると、「岩手県に本社がある企業を知らない、または知っている企業が5社以下」の回答が約9割。高校生等が盛岡で働くイメージを持てないまま東京圏へ進学してしまうことが、Uターン就職するきっかけを作りにくくさせている可能性あり

4 関係人口を基軸とした移住促進
 関係人口とは、その地域に居住していないものの、出身者や勤務経験者であるなど、その地域との継続的な関わりがある人を捉える概念
(1)これまでは、移住(拠点を持つ)を推進してきたがハードルが高かった。

(2)これからは、まず興味を持つ→愛着を持つ→通う→交流する→移住(拠点を持つ)につなげる

5 「盛岡という星で」プロジェクト始動
平成30年12月15日よりSNSを活用した情報発信
(1)プロジェクト構成メンバー:東京イベント会社、デザイン会社、ツアー会社、IT会社、コミュニティ団体、盛岡市

(2)協力団体:岩手県立大学、岩手移住計画、岩手×東京会議、いわて銀座プラザを応援する女子会anecco、秀吉、赤坂さんさ・大江戸さんさ

(3)業務委託で実施することにより、固定観念にとらわれないスタイルによる配信

(4)インスタグラムで「東京の中の盛岡」「盛岡の今」を毎日配信

(5)「盛岡という星で」とするキャッチコピーの活用

(6)盛岡市ならではの懐かしい風景、施設等の写真とともにエッセイにして若者へ届きやすいよう工夫

(7)適度なイベントの告知:イベントの告知を多発すると若者は敬遠しがち

(8)漫画や音楽など若者に親しみのあるコンテンツの活用
  フォロワー数も順調に推移

6 地域おこし協力隊活用事業
(1)制度概要及び導入の経緯
 平成27年に策定した総合戦略では、当初地域おこし協力隊の活用について検討事項としていたが、「中山間地域の特性・魅力に関する研究」において、外部者との交流が中山間地域の活性化に有効であり、地域おこし協力隊の活用が提言されたことから、平成29年度から本格導入。

(2)テーマ及び配置状況


(3)課題
 どちらかと言えば導入が後発だったこともあり、募集に対して応募が少なく、予定定員に達しなかった。

7 課題
 これらのプロジェクトの成果を評価する場合、国は具体的な数値を設定するよう求めているが、最終的には人口減少を抑え定住者を増やせるかであることから、実現に向けた進捗管理、施策の推進が求められる。

≪所感≫

 少子高齢化・人口減少は、地方都市における共通の課題である。盛岡市では、転出者や高校生・大学生等を対象とした意識調査を実施し、回答に基づいた施策の展開が図られており、評価できる。
移住・定住の対象者を東京圏での一定の知識や経験を蓄積した若年層(20~39歳)に焦点を当て、そのために関係人口を増やす施策に重点が置かれている。関係人口とは、その地域に居住していないものの、出身者や勤務経験者であるなど、その地域との継続的な関わりがある人であり、その人へどのような情報をどのように発信するかが問われる。盛岡市の場合、対象者を若年層に絞っていることから、SNSでの配信を中心に実施している。事業はスタートしたばかりで、成果についてはこれからとのことであるが、本市においても、まずは実際に転出した人の意向を調査することを求めてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年03月18日