視察報告-東京都北区中央図書館

出張者:森山きよみ


【日程】   2019年5月23(木)10:00~12:00

【場所】   東京都北区中央図書館

【対応者】  
        東京都北区教育振興部中央図書館館長、東京都北区教育振興部中央図書館管理係長
        東京都北区区議会事務局議会主査


 

【調査概要】 

1、管理運営について
 北区中央図書館は、区内にある14ある図書館の中心的な図書館で館長以下60名の体制である。内司書資格を有する職員が12名で31.6%を占める。指定管理者制度は、導入しておらず原則区の直営の事業であるが、一部配送等の委託業務を実施している。
 指定管理者を含めた民間委託の論議はあるものの今のところは、直営の事業形態で運営をしていくとの事。

2、特徴的な館の運営について
 通称「赤レンガ図書館」として区民に親しまれている。運営としては、滞在型図書館を目指し、館内にカフェを設置するとともに読書テラス、CD DVDコーナーを設置し少しでも長く滞在してもろえるように工夫していた。
 さらに、「区民と共に歩む図書館」をコンセプトに、「区民とともに歩む図書館委員会」を設置し平成29年3月に「第五期報告書」が教育委員会へ提出された。図書館ボランティア活動の推進は、視覚障碍者への読み聞かせや北区コーナーの資料集めなど各面からボランティア活動が推進されている。


 また、「ドナルド・キーン」氏が北区に住んでいらっしゃったという事もありコーナーがあり寄贈された蔵書も多岐に上り来館者も多いとの事。鹿児島市も図書館に鹿児島市に関係のある方のコーナーを設けるなどの工夫もしてみてはどうか。
 

 


3、入館者数の推移
 平成20年6月28日に赤レンガ図書館としてリニューアルオープンしてからの入館者数については、平成21年度3224079人、22年度3260991人平成28年度3020194人と300万人を超え盛況のようである。


4、その他
 ユニバーサルデザインを基調に書架が低くかつ書架と書架との間が広く車椅子でも図書閲覧ができるように設計・設置されていた。また、子ども図書館に至っては、基調を「丸」で統一され椅子、書架、トイレ等子どもが訪れやすくかつ過ごしやすい仕掛けが至る所に工夫されている。
 女子トイレは、利用する人が自分の身だしなみを整えるために鏡が設置され、非常に好評との事であった。

 

 「北区の部屋」では、北区の歴史は勿論、北区とゆかりのある作家や文化人、歌手等のコーナーもあり(倍賞千恵子、つかこうへい等)親しみやすかった。
 なんといっても「赤レンガ図書館」の愛称にふさわしく館の外には、赤レンガの前で緑陰読書ができるようにベンチが置いてあり休刊日にもかかわらず多くの方が読書に親しんでいらっしゃった。

 

 

 

≪所感≫

 鹿児島市も「まちなか図書館」建設に向けて基本構想が出来今後基本計画・実施計画策定その後実施設計と建設に向けて計画を進めていくわけですが、全国各地で図書館の役割について見直しが進み、ひと昔前の「公の貸本屋」という役割から住民にとって役に立つ図書館、時代のニーズに合った図書館さらには、行きたくなる図書館、集客施設としての図書館など今日、図書館の役割が大きく見直されてきている。その中で来館者が増えている図書館の一つに今回調査した「東京都北区立中央図書館」がある。通称「赤レンガ図書館」といわれるほど外観が美しい。戦時中の「東京砲兵工廠銃砲製造所」の外壁並びに骨格部分の一部を再利用した建物で、2009年度グッドデザイン賞を受賞するとともに平成23年には、「第27回(社)日本図書館協会建築賞」」を受賞するなど建物自体も注目されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年05月30日