出張者:秋広正健
【日程】 2018年7月26日(木) 15:40~17:10
【場所】 熊本県教育庁
【対応者】 教育指導局義務教育課幼児教育係審議員、同指導主事
【調査内容】 幼児教育アドバイザー派遣事業について
1.事業目的及び事業概要
2.幼児教育アドバイザーについて
(1)具体的な業務内容について
①保育参加による幼児・保護者への対応や環境構成等への助言等
②園内研修の助言等
➂認定こども園・幼稚園・保育所等、小学校、中学校の連携支援
④保護者会等の支援
(2)勤務時間・報酬等
(3)派遣先や保護者からの評価
3.事業の申請から派遣に至るまでのフロー
4.事業実施による効果と今後の課題
≪所感≫
この事業は、文部科学省から「幼児教育の推進体制構築事業」の委託を受け、幼稚園・保育所・認定こども園等を巡回して助言を行う「幼児教育アドバイザー」の育成・配置を行うことにより、幼児教育の質の向上を図るものである。
平成29年度の実施内容としては、公立幼稚園長を経験したアドバイザーを3名配置し、1年間を3期に分けて継続かつ単発な支援を行ったとのことであり、継続派遣(1園につき、3カ月に12回派遣)を18園、単発派遣(1回につき3~6時間勤務)を18園行った。申請方法としては、派遣を希望する園から、県教育庁義務教育課に申請を行っていただき派遣をすることになっている。アドバイザーの主な活用方法としては、保育参観による幼児・保護者への対応や環境構成等の指導・助言、園内研修の指導・助言、認定こども園・幼稚園・保育所等・小学校・中学校の連携についての支援、保護者会の等の支援などとなっている。
派遣の効果や事業の成果としては、単発派遣は、派遣園にとっては、国や県の取組状況の理解、自分の保育の振り返り、職員での共通認識などの効果があり、事業の成果としては、1回の派遣のため気軽に活用しやすいことや様々な園種からの活用がある等とのことであった。
また、継続派遣は、派遣園にとっては、園内研修の充実、保育技術・質の向上、職員の意識の向上などの効果があり、事業の成果としては、園の実情や課題に応じた助言ができることや保育の様子を実際に見て、具体的かつ継続的な助言できること等とのことであった。
今後の課題としては、派遣園への調査等を行い、成果や課題を詳細に検証する必要があることや、園がさらに本事業を活用しやすいように、派遣園への聞き取り等をもとに派遣方法等を検討改善する必要がある等とのことであった。
本事業については、国のモデル事業として実施されているものであるが、本市としても、大変、参考になるものであり、その効果や課題を踏まえ、実施に向けて検討すべきではないかと認識したところである。

【日程】 2018年7月27日(金) 9:50~11:50
【場所】 佐賀市役所
【対応者】 高齢福祉課副課長兼介護予防係長、他 同介護予防係保健師
【調査内容】 街なか元気アップ教室について
(1)事業概要
・この取り組みは、自家用車などの交通手段がなく買い物に行けない65歳以上をバスで送迎し、介護予防運動と買い物支援を組み合わせて行うもので、参加者は買い物を楽しみながら、筋力向上や認知症予防にも繋がるものである。
・同教室は北部、中部、南部コースと地区別に分かれ、週1回で約4カ月間開催しており、自宅近くの公民館等に集合してから会場まではバスで送迎している。教室は、午前に1時間半程度の運動教室(お口の健康、栄養改善、脳トレ)を行い、午後は商業施設や佐賀駅周辺で買物していただく内容となっている。
(2)事業費
介護保険の地域支援事業の中の一般介護予防事業として実施しているため、市の財政支出はないとのことであり、平成29年度の契約金額は、街なか元気アップ教室事業費7,284,600円、街なか元気アップ教室サポーター事業492,480円であった。
(3)対象者
65歳以上で一人暮らしまたは高齢者のみで生活し、移動手段がなく買物に支援が必要な自力で歩行及び金銭管理ができる人で、要介護認定を受けていない人となっている。
(4)事業効果
参加者に対する事前事後の主観的健康観、体力値などについては、介護予防教室のプログラムの実施による満足、向上が見られ概ね改善の方向とあり、事業効果があったと思われるとのことである。また、副次的効果である施設での買い物についても、集計が確認できたもので約176万円とされている。
(5)今後の事業展望
本事業の定着については、時間を要すると見られているが、事業を通じて出てきた課題として、①本事業は一般介護予防事業として実施していることから、買物活動は副次的なものであること。②教室終了後に自主グループへの参加を促しているが、公費事業ではなく、私費事業であるため、費用面で参加が難しい場合もあること。③中心市街地に予防教室の会場を設定するため、送迎範囲が広くなり送迎コストがかかること。④運動と買物ができる場所は限られており、場所の選定が難しいこと。⑤運動などのプログラムは教室といった限られた狭い空間で実施するが、買物は、会場が広く、利用者の行動範囲が広くなるため人員配置について検討の必要があること。
≪所感≫
・総じて、事業そのものについては、一定の効果があることから、本市としても参考となる取り組みであったと理解したが、一方で、多くの課題もあることから、取り組むに当たっては、その課題をいかに整理した上で、事業化するのかの検討が必要であると感じたところである。

[対応者] 地域振興部協働推進課地域コミュニティ室長、地域コミュニティ室主任、主事
[調査事項] 地域コミュニティ協議会について
(1)設立経過・事業概要
地域コミュニティ協議会設立までの経緯としては、まちづくり自治基本条例の制定について、平成23年から内部検討を始め、26年4月に条例を施行したところであり、同条例第23条に「地域コミュニティ活動」として、市民は地域コミュニティ活動を行うように努めることと、行政は地域コミュニティ活動の支援に努めるものと規定している。また合わせて、地域コミュニティ活性化検討委員会(学識経験者2名、各種団体代表者13名、モデル校区代表4名)を平成22年8月~12月と23年7月~11月に設置し、各面から検討を進めてきた。
平成23年度から25年度までをモデル期間と位置づけ、25年度にモデル校区での取り組みを検証し、今後の方針を決定している。モデル校区の選定(手上げ方式)までの流れとしては、12月に自治協議会にてモデル校区を募集し、12月~2月にモデル事業に関心のある校区において説明を開催、3月に希望申し込みのあった校区について自治会協議会で選定協議を行う承認を受けるという流れであった。
平成25年度に同検討委員会から、「全校区で地域コミュニティの取り組みを進めるべき(一定の移行期間を設ける)」との提言を受け、佐賀市の方針としては、「全校区で地域コミュニティの取り組みを進める(3~5年間の移行期間)」こととし、モデル事業同様に募集方式を原則としたところである。
地域コミュニティ協議会設立に向けた市の支援内容としては、財政面では、協議会設立前は印刷製本費・郵便料など市が直接負担、設立後は夢プランの実践にかかる費用を助成し、人材面では、佐賀市地域コミュニティ室職員による1人1校区担当制を導入し、校区住民ワークショップ等には専門のファシリテーターを配置している。また、一人二役運動の一環として、在住職員連絡員制度を導入し自主的な参加を推進したところである。
これらの取り組みにより、平成30年度現在で、全32校区中30校区が設立済みとなっている。
(2)成果
① 共通目標ができたことで、校区でまとまって活動をしようという意識が高まった。
② みんなで話し合う場を設けたことで困りごとや課題が明らかになり、その解決に向けた活動をみんなで
考えることができるようになった。
③ 関係団体が集まる部会制をとったことで他の団体の活動を知ることができ連携を取りやすくなった。
④ それぞれの部会を部会長・副部会長が引っ張っていくことで役割分担ができるようになった。
(3)課題
① 協議会の設立に際しては、どうしても話し合いの機会が多くなる。
② 一つの行事を行うまでの役員会や部会での会議が多くなる。
③ 自治会長や各種団体の役員は1年で交代するため、引き続き、まちづくり協議会の役員を担ってもらえるか不安。
④現在は市からの助成金が中心のため安定的な財源の確保とのことであった。
(4)今後の取り組み
成果や課題を踏まえて、取り組みから7年が経過したことによる新たな展開として、夢プランの見直しや「なり手不足」、「認定度不足」の解決に向けて、財政支援の充実やアクティブシニア層への新たなアプローチなど、鋭意取り組まれている。
≪所感≫
佐賀市の取り組みが始まったのは、本市とほぼ同時期であり、佐賀市には根拠条例(まちづくり自治基本条例)がある点が異なるものの、取り組みとしては類似点が多いと感じた。特に、一人二役運動の一環として取り組んでいる在住職員連絡員制度は本市にはないものであり、参考にすべきものではないかと思ったところである。また、取り組み後の成果と課題が整理されている点についても、今後の本市取り組みの参考になるものであった。