視察一覧

視察報告-岡山

出張者:森山きよみ

【日程】   平成29年 1月31日 午前10時~12時20分

【場所】   岡山県立図書館

【応対者】  岡山県立図書館  
             館 長  村木  生久
             副館長  嶋田  健一郎

【調査事項】
       1、図書館運営の基本的あり方
       2、図書館協議会について
       3、県立図書館の特徴
       4、レファレンス大賞文部科学大臣表彰について

【具体的調査内容】
 1、図書館運営の基本的あり方について、村木館長から説明を受ける
  ①県民に開かれた図書館
  ②県域の中枢となる図書館
  ③調査・研究センターとしての図書館
  ④デジタルネットワークに対する図書館
  ⑤資料保存センターとしての図書館 
 の5つの基本的性格と
  ①子ども読書プログラム  
  ②おかやま情報発信プログラム
 の2つの重点プログラムを設定し、現在第三次中期サービス目標(H28年度からH32年度)実施中

【図書館協議会について】
 平成16年に条例制定後平成24年に追加条例 追加条例の経緯については、協議会委員の基準を定めた方が良いのではないかとの判断から第二条に基準を設ける。


【県立図書館の特徴について】
 老朽化した複合施設の一角にあった当時図書館を平成16年に旧市立中学校の跡地に建設された岡山県立図書館は、全国の県立図書館の中で最も来館者数が多い館で、個人貸し出し冊数も最も多い館である。また、蔵書も230万冊あり、そのストックの方法や管理についても集密書庫(110万冊)自動化書庫(40万冊)と他の図書館と比較しても群を抜いている。その具体的方法として「新刊図書の積極的購入」(平成26年度までは、新刊図書の70%購入)「新刊児童図書の全店購入」を行っているとの事。また全て地元の書店からの購入をしており地元の書店との共存の姿勢がとても良い。
 
【レファレンス大賞文部科学大臣表彰について】
 本年度2回目の「地方創生レファレンス大賞」で文部科学大臣賞を受賞した内容経緯については、「中山間地域の産業を応援!」岡山県小田郡矢掛町の「干し柿の活性化」の地域支援を県立図書館の主題別6部門の郷土資料班が専門性の高い、例えば「干柿の生産過程で出る柿を有効活用する方法はないか」等レファレンスに対応しその結果、地元では新商品の「柿ようかん」が作られ近く販売にこぎつけるとの事。
 レファレンスの質の高さは、どのようになされたのか。学ぶべきところがある。とりわけ、レファレンスを行う職員、窓口で対応する職員は、全て司書の資格を有している者であり、それが条件で雇用しているとの事。また、機会あるごとの研修体制もさることながら、6部門で構成されるサービス一課・二課の組織的対応が、お互いの資質向上につながっていることも学ぶところが多い。
 「地方創生」という現下の喫緊の課題に対して図書館という公共施設が、その持っているノウハウを活かし貢献している、また貢献できることは特筆する。



【所感

 公立図書館の役割は、今までの「貸本屋」というイメージ、役割から「市民・県民にとって役に立つ図書館」という流れの中、文部科学省が平成21年度に示した「望ましい公立図書館の在り方指針」に基づき鹿児島市立図書館でも新しい図書館運営基本方針を昨年度定め新しい段階に進んでいるが、「市民に役立つ図書館」という今日的課題の中では、今からの取り組みになっている。しかし、「市民に役立つ」といってもかなり抽象的で広範囲になるため具体的な取り組み事例を探していたところ先の月刊誌に第二回「地方創生レファレンス大賞」に岡山県立図書館が文部科学大臣賞を受賞したこともあり視察に行った。
 館長・副館長の説明と館内を、バックヤードを含めて丁寧な説明を受け、約二時間の視察であった。
 全国の県立図書館の中では、来館者数、個人貸出冊数が一位(平成27年度)図書購入冊数並びに図書購入予算ともに二位等県民の皆さんから評価の高い図書館でもある事が分かった。その背景には、非常に質の高い運営基本方針の下、具体的な数値目標を設定した取り組みと毎年の検証作業、図書館協議会での活発な論議、そして積み重ねのあるレファレンス向上対策、窓口業務の司書の全員有資格者採用等各面からの総合的な取り組みがなされていることが分かった。
 本市の市立図書館は、基本的な運営方針を定めたばかりであり取り組みが緒についたばかりではあるが非常に参考になった。参考になった点を以下期します。

1、 窓口業務の司書の全ての方々が、有資格者である事

2、 運営方針に基づく具体的な目標指標が数量的に充実している事

3、 今日的な、雇用の現状を背景に「仕事情報コーナー」が充実している事


4、 ハード面でも個人・団体の研究室や児童図書研究室等整備されている事


5、 バックヤードにおいても110万冊を要する集密書庫・40万冊を要する自動化書庫なども非常に充実している事



6、 月刊誌や雑誌を地元の企業の宣伝を兼ねて置いてあり、経費削減に努めている事


 鹿児島市立図書館も、今後各面から体制の見直しや目標の見直しなどをしながら、より市民に役立つ図書館を目指して議会からも提言をしていきたい。

 

 


視察報告-新潟・長岡・高崎

出張者:秋広正健・森山きよみ・ふじくぼ博文・大森忍・中原ちから・平山タカヒサ

【日程】   平成29年 1月24日 (火)

【場所】   新潟県新潟市

【調査事項及び対応者】 
・空き家活用のためのリフォーム支援について
・地域提案型の空き家活用への支援について
   新潟市建設部住宅環境政策課 課長補佐・住宅環境整備室長 石渡 一彦
   新潟市建設部住宅環境政策課 係  長          齋藤 真一

・にいがた未来ポイントについて
   新潟市保健衛生部保健所健康増進課 課長補佐 瀧澤 典彦
   新潟市保健所健康増進課健康づくり支援係 主査(理学療法士)佐藤 美和子
   新潟市環境部環境政策課環境企画係 主幹 小林 由加子

【調査内容】
(1) 空き家等対策の取り組みについて
① 新潟市の空き家等の現状と課題

 平成25年度の空き家数は5年前と比較し約2000戸の増、「その他の住宅」は約7000戸の増にある。課題として、住まいの引き継ぎに対する意識の啓発、良好な住環境の保全・改善や空き家等の活用と中古住宅流通の環境整備などの整備の必要性が浮き彫りになった。

② 空き家等への対策
「新潟市空家等対策計画」を策定
 目  的:空き家等対策の方向性を明確にし、効率的・効果的に推進していくとともに広く市民に周知を図る。
 基本方針:空き家等の所有者等による管理の原則
       地域(市民)・関係団体との連携
       空き家等への対応
 期  間:平成28年度から平成32年度までの5年間

 具体的な取り組みとして、空き家等対策の推進に関する連携協定の締結、空き家に関する啓発パンフレットの作成や空き家の活用に関する支援事業などが本計画に盛り込まれている。 
この中で特筆すべきは、周知・啓発など空き家等対策に連携・協力して取り組む事を目的にとして、不動産、法務、建築などの関係13段と連携協定を締結する予定であることだ。(※平成29年1月25日に締結)空き家の所有者、利用希望者や地域・市民に対し市と連携協力し、意識啓発・情報提供・専門的な相談対応などを行う予定としている。


  ※ 参 考 主な協定締結団体
    不動産 新潟県宅地建物取引行協会 全日本不動産協会新潟支部
    法 務 新潟県弁護士会 新潟県司法書士会
    建 築 新潟県建築士会 新潟住宅相談協議会
    解 体 新潟市解体工事業協会
    管 理 新潟市造園建設業協会
    相 談 全国空き家相談士協会新潟支部など13団体


(2) 空き家活用のためのリフォーム支援について

① 事業目的:空き家利活用の促進を図るため、福祉活動や住替えといった空き家活用をする場合に、そのリフォーム費用の一部に補助を行う。平成28年度予算で約3600万、財源は一般財源より支出。

② 対象となる空き家活用用途

(3) 地域提案型の空き家活用への支援について
① 事業の目的
 地域住民の主体的な取り組みによる「空き家の活用」や「空き家を除却した後の跡地の活用」を支援し,空き家を資源とした「まちづくり」や「地域コミュニティの活性化」を図るため,『地域提案型空き家活用事業』を平成26年度にモデル事業として創設し,平成27年度より本格実施している。予算は約680万円(平成28年度)。

② 事業の概要    ※ ステップ1は2カ年まで利用可能。ステップ2は交付金を活用


③ 募集の対象  調査研究事業を実施する団体 5団体(H28年度予定)

④ 応募資格
・以下のいずれかの団体であること
  自治会,町内会
  地域コミュニティ協議会
  その他営利を目的としない団体(NPO法人,まちづくり団体など)
・本事業を年度内に適切に実施できる体制であること
・宗教団体,政治団体,暴力団等でないこと

(4) にいがた未来ポイントについて
① 事業概要
 市民の環境・健康に配慮したライフスタイルの普及拡大を図り、「環境健康都市」を実現するため、市民のエコ活動・健康づくりにポイントを発行する事業。対象事業へ参加して、りゅーと(交通系IC)カードやおサイフケータイにポイントをため、1,000ポイントで新潟市商品券またはバス乗車ポイント(千円分)に交換できる。健康部門の「にいがたし健幸マイレージ」と環境部門の「エコアクションキャンペーン」が連動し、どちらの活動に参加しても「にいがた未来ポイント」が貯められる仕組みとなっている。

【所 感】
 総務省統計局平成25年住宅・土地統計調査よると、全国の空き家率は増加の一途で、平成25年においては空き家数が820万戸、空き家率が13.5%となっている。本市においても、13.6 %と全国平均を僅かではるが、上回っている。空き家対策の一環として、本市では、国の法整備前に、鹿児島市空き家等の適正管理に関する条例を制定し取り組みを行っているが、問題の抜本的な解決には至っていないのが現状である。
 新潟市では、「新潟市空家等対策計画」を基軸に、「空き家活用リフォーム推進事業」や「地域提案型空き家活用事業」などを展開し、法令整備だけでなく実効性のある施策を実施している印象を強く感じた。新潟市にお伺いすると、単に費用補助するだけでは目ざましい効果は得られない。まずは所有者に当事者意識を持っていただけるよう取り組むと同時に、補助に関しても、「空き家活用リフォーム推進事業」や「地域提案型空き家活用事業」など地域を巻き込んだ形で取り組むと共に、そこに、役所や関係団体を活用していただいてより良い住環境やまちづくりに繋げなければならいとお答えになった。
また、各事業は多くの庁内の部署にまたがっており、庁内連携はどのように取られているのかとお聞きしたところ、連携を緊密かつ持続的なものにするため、庁内連絡会議を設置し、情報の共有化と体制の強化を図っておられるとの事。
 このように、各種施策を展開すると同時に、地域や関係団体、庁内の連携を図り取り組む姿に感銘を受けた。本市においても、条例整備は済んでいることから、次にどう繋げていくのかが課題であると考える。より実効性の高い対策を考える上でも新潟市の取り組みは参考になると思う。
 にいがた未来ポイントについては、新潟市の施策に市民の関心を向けるための事業ではあるが、将来的には、地域活動に参加するとポイントが貰えるなど様々な展開が考えられることから今後に注視していきたい。

 

 

 

【日程】   平成29年1月25日 

【場所】   新潟県長岡市

【対応者】  長岡市総務部行政管理課 課長田辺 亮 ・主任萩原 愛(別紙名刺参照)

【調査事項】 指定管理業務のモニタリングと評価について


【内容】
 長岡市では、指定管理者制度を導入している施設を安全・安心に管理し、施設サービスの向上を目指して、指定管理者や業務に対する監視(モニタリング)、指定管理業務に対する評価を行っている。また、指定管理者の選定にあたり、透明性と公平性を高めるために外部の各分野の専門家や公認会計士などから成る指定管理者選定委員会(4分野、計20人)を設置している。

(1)指定管理者制度の導入状況(28年4月1日現在)
   ①導入施設 158施設
   ②制度運用中止施設 12施設
   ③現在導入施設 146施設
(2)施設種類別導入状況
   ①スポーツ・レクレーション施設(体育館・野球場等) 51施設
   ②産業振興施設(道の駅・商工物産館等) 15施設
   ③都市基盤施設(駐車場・斎場等) 17施設
   ④文化教育施設(劇場・図書館等) 39施設
   ⑤社会福祉施設(高齢者センター・デイサービス等) 36施設
(3)指定管理業務のモニタリングと評価
   ①サービス向上のための仕組み

      

   ②指定管理業務の評価

≪評価の種類と評価者等≫

評価の種類 評価者 実施時期 評価の概要
自己評価 指定管理者 毎年度 事業報告書のチェック項目等により、事業計画の履行状況について自ら行う評価
業務評価 市施設所管課 毎年度 日常的なモニタリングや事業報告書に基づき計画の履行状況を確認する評価
総合評価 選定委員会 期間中
1~2回
施設所管課が行った業務評価や必要に応じて実施する現地視察に基づき、第三者の視点から行う総合的な評価

 

≪事業報告書のチェック項目等の評価基準≫

評価 基        準
AA 提案された事業計画を上回る優れた管理運営が行われている
・各項目の確認結果(評価)にAAがあり、その他はAである
A 事業計画書の90~100%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)が全てAである
B 事業計画書の70~90%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)にBがあり、Cではない
C 業計画書の50~70%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)にCがある

 

≪評価の区分≫

評価区分 備   考
施設の管理運営に関する事項 全ての施設で評価を実施
事業の実施に関する事項 指定管理業務として事業を実施する場合は評価を実施
サービス向上に関する事項 全ての施設で実施


≪評価結果の活用≫
・評価の結果、さらなる努力が必要とされた施設、あるいは改善が必要とされた施設は、指定管理者に対して具体的な指導を行う。
・指定管理者のアイデアをさらに引き出すよう、市と指定管理者の意見交換に努め、より質の高いサービスを利用者に提供していきたい。


③モニタリング及び評価制度の改正について
 平成25年度の業務評価から評価方法等を変更した

≪事業報告の変更≫
・確認項目を施設ごとに変更可能とした
・評価のための確認根拠を明確化した
・指定管理者、市の双方が施設管理運営に係る課題を記載し、共有する

≪評価表・方法の変更≫
・指定管理者の自己評価、施設所管課の業務評価は従来通り毎年実施
・選定委員会が行う総合評価を、指定期間1年目(課題提起と改善点の指摘)と4年目(1年目の指摘事項の改善の確認)に事業評価を実施


(4)その他の取組
   ①「先進事例研修会」平成27年から管理能力向上のため他の自治体で先進的な取組を行っている指定管理者の
     講演会を開催した
   ②「利用者満足度調査」平成27年から年間に一定期間を設けて利用者全員に声掛けして集約している


 

【所感】


(1)長岡市は、平成15年に指定管理者制度が設けられた当初から、指定の透明性あるいは公平性を確保するとして制度運用の段階から、指定管理者選定委員会を設置するとともにモニタリング及び評価制度を確立し、条例化をして実践していることは特筆すべきことである。

(2)モニタリングの様式について、指定管理業務事業報告書(兼業務チェックシート)を活用して、評価のための根拠を明確化しているとともに、指定管理者、市の双方が施設管理運営に係る課題を記載し、共有している点などは本市でも考慮する点ではないだろうか。

(3)評価について、結果を出すことが目的ではなく、評価結果CをBにあるいはAに上げることで市民サービスが向上することが目的であり、平成25年度の変更当初は厳しいとの声もあったが、具体的に一定基準を設けたことで「見える化」となり、指定管理業務の改善につながったとの説明であり本市でも検討の余地があると思う。

 

【日程】   2017年1月26日(木) 10時~11時30分

【場所】   群馬県高崎市

【調査事項】 ①空き家緊急総合対策     ②まちなか商店リュニアル助成

【内容】

①空き家緊急総合対策


≪高崎市の空き家状況≫
   市内住宅戸数  約178,220戸
   空き家戸数   約 26,450戸
   空き家率    14.8%(全国13.5%、群馬県16.6%)

≪空き家緊急総合対策事業を行うに至った経緯 ≫
 担当者の説明によると、「空き家は個人財産であり、所有者が自己責任で適正に管理すべきものですが、空き家増加を起因とする社会問題の拡大、多様化を受け、行政としても空き家の減少、空き家問題の解消につながる対策を講ずるべきであると考えた。又、市長は、空き家問題は地方都市の重要課題ととらえ、平成24年度から空き家対策の施策について関係各課を集めて検討を始めた。」
 さらに、平成25年の11月から12月にかけて、空き家と想定される約500件の戸建て住宅についての調査と、住宅土地統計調査の推計結果を受けて、空き家解消に向けて、老朽化した空き家の除去と利用可能空き家の活用を同時に進める必要があることから、平成26年6月から高崎市独自の取組みである空き家緊急総合対策事業を開始した。


≪制度の概要≫
 高崎市の制度は、平成26年度から空き家の管理、解体、活用の3本柱で制度1~7により総合的に手厚く支援し、平成28年度からは新制度として空き家を事務所(オフィス)や店舗として活用する場合に、改修費の補助を行う制度を付け加えました。(制度8)

予算/年度 26年度 27年度 28年度
当初予算 1億円 1億円 1億円
補正予算(1回目) 1億6000万円 1億円 5000万円 1億6000万円
補正予算(2回目) △2500万円 △3500万円  
合  計 2億3500万円 1億6500万円 1億5000万円

 (当初予算と補正予算)

≪実績状況≫

【26年度助成件数と助成金額】                           (単位:件/千円)

【27年度助成件数と助成金額】

【所管】

 高崎市の場合、条例を制定して事業を行うということではなく、補助事業として実施していることが特徴ですが、当初予算が約1億円であったのが、平成26年度では2億3500万円を支出しているように、多額の予算を使っています。
 例えば、老朽化した空き家を解体したい場合、【制度2の解体費用の一部を助成】では、周囲に危険を及ぼす恐れのある老朽化した戸建て住宅及び店舗併用住宅の空き家(おおむね10年以上空き家状態)が対象となりますが、解体費用の5分の4、上限100万円の補助であり、多額の補助であるということから、平成26年度、平成27年度共に大きい実績となっています。
 このことに対しては、「まずは実効性をあげる」ということと、市長の決断が大きかったということでした。又、空き家の再活用ということで、空き家をサロンで借りる場合【制度5】、家賃の5分4、上限5万円(月額)を助成するなど、空き家の再活用ということでは、学ばされた視察でした。



②まちなか商店リュニアル助成事業

≪事業を行うに至った経緯≫
 担当者の説明によると、市内の300店舗を対象に聞き取り調査を行った結果、約20%の店舗で、「店舗の改装を考えているが、なかなか資金がないので踏み切れない」等々の状況から、高崎市は、商業の活性化を目的に、商売を営んでいる人、又は営もうとする人が、「店舗等の改装」や「店舗等で専ら使用する備品の購入」を行うことに対し、その費用の2分の1を補助する事業を平成25年から開始しました。

≪実績≫

平成25年度 687件 4億2000万円
平成26年度 473件 3億2800万円
平成27年度 492件 3億8000万円
平成28年度 442件 3億4900万円


【所管】

 空き家緊急総合対策事業と同じように、まちなか商店リュニアル助成事業も多額の予算を執行
していますが、助成を利用したお店で言えば、「うちのような小さい店は、この先どうなるのか
と不安がありました。ですが、補助金があることを知り、市から応援してもらえるんだと思い、
すごくやる気が出ました。改装をきっかけにさらに店も地域も盛り上げていきたいです。」とい
う声もあるように、商店街の活性化につながっていると思われます。
 市の担当者は、「補助金の倍以上にお金が市内をまわっている(約35億円)」なかで、売り上
げ増にもつながっています。」と報告されました。
 本市においても、中心市街地以外の商店街の活性化も求められている中で、学ばされた視察で
した。

視察報告-浪江・川崎

出張者:秋広正健・森山きよみ・ふじくぼ博文・大森忍・中原ちから・平山タカヒサ

【日程】   平成28年5月24日 
       午後1時~2時30分 

【場所】   浪江町役場(震災前の本庁舎)

【対応者】  浪江町議会 議長 吉田数博氏    
       浪江町総務課長 佐藤良樹氏

【調査事項】 
(1)東日本大震災後の現状(帰町、除染、仕事の確保、
職員のモチベーション他)と課題、展望など
(2)福島第1原発事故及び原発に対する町民の意識

【内容】
≪はじめに≫
 浪江町は海と山と川に囲まれ自然に恵まれた風光明媚な町として、歴史と伝統を大切にし、水産資源などを生かした漁業など賑わいのある町であった。(震災当時の人口 21,434人、7,671世帯、面積223.14㎢)

 

≪発災≫
①2011年(平成23年)3月11日 14:46東日本大震災発生。震度6強の揺れと15mを超える津波が発生。6㎢が浸水し、全壊家屋651戸(流出586戸、地震65戸)、約1000事業所が被災、死者182人(内行方不明31人、家屋倒壊の圧死1人)の被害。     

②同時に発生した東京電力福島第一発電所事故については、2年後の平成25年5月29日に浪江町が東京電力を相手取って、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)への和解仲介手続申立書に詳細に記載されている。立地自治体ではなかった浪江町が東京電力と原発のトラブルに備えて通報連絡協定を結んでいたにもかかわらず、何の情報も伝えられなかった。3月12日、津波被害者の捜索に向かおうとした矢先、テレビで10㎞圏内の住民に避難指示が出されていることを知り、庁舎を含め10㎞圏外への避難を20㎞離れた町西部の津島地区へ避難を決定した。同日18時25分に20㎞圏内の住民にも避難指示が出されたことをテレビで知り、同圏内の住民にも避難指示を出し、津島地区は8000人を超える避難者であふれた。浪江町へは政府、福島県、東京電力のいずれからも連絡はなかった。翌14日に3号機、翌15日には4号機が爆発し、大量の放射性物質が大気に放出された。浪江町は、度重なる原発事故と情報不足による混乱を受けて、15日さらなる遠方の二本松市への避難を決定した。後日わかったが、東電が事故翌日の3月12日の1号機爆発以前から津島地区方向のモニタリングポストで放射線量を測定していたが公表や伝達をしなかった。また、文部科学省も浪江町津島地区など放射線レベルが極めて高いことを知っていたが、町へ通報しなかった。これらの事は、住民の生命財産を守る立場で、国や東電に対して怒りを覚える。 

 

≪現状≫     

①全町民21000人全てが避難対象で、福島県内70%約14500人、この内仮設住宅(県内30か所)に約3000人、借上げ住宅(みなし仮設)に約4400人、福島県外に30%約6500人(全国44都道府県約600市区町村に広域分散避難)現在も避難指示が継続している。

②避難先を点々と変えざるを得ず、役場機能も1年半で4回移動し、長引く避難生活等による震災関連死は384名を数える。

③放射線量による区域指定(平成25年4月~現在)

A避難指示解除準備区域 0~20msv 面積の9% 被災前人口41% 日中立入可
B住居制限区域 20~50msv 10% 42% 日中立入可
C帰還困難区域 50msv~ 81% 17%  

※AB地区の除染は、25年11月から開始されたが、C地区については計画すら示されていない。  

 

≪復興に向けた計画≫

復興の基本方針

 すべての町民の暮らしを再建する~どこに住んでいても浪江町民~

 ふるさと なみえを再生する~受け継いだ責任、引き継ぐ責任~

 被災体験を次代や日本に生かす~脱原発、災害対策~

浪江町復興計画【第一次】(平成24年10月策定)復興ビジョン実現のための具体的取り組みをまとめたもの。

まち・ひと・しごと創生浪江町総合戦略(平成28年3月策定)

浪江町復興計画【第二次】(平成28年度に策定予定)

復旧・復興の道筋は、平成28年3月、有識者による検証委員会が平成29年避難指示解除を想定してそれまでに実現すべき16項目を提言、町は平成29年3月までを復旧実現期と位置づけて、【人の復興】として、県外・県内各地域居住者への継続的な支援など全町民の生活安定の実現を目指している。【町の復興】として、除染やインフラ復旧の本格実施、町内での復興拠点への住宅・生活関連サービスの集約整備などふるさとの再生の本格化を目指している。また、平成29年4月~平成33年3月を本格復興期と位置づけて、全町民の幸せな暮らしの実現とふるさと再生の実現を目指している。

 

≪復興に向けた現状≫

除染・災害廃棄物 除染は宅地48%、農地37%、森林(宅地より20m以内)75%、道路68%となっている。災害廃棄物は28.9万tにのぼり、可燃物は仮設焼却施設で減容化し29年度に処理完了予定。

インフラの復旧 上水道は、平成29年3月までに津波被災区域を除き全配管復旧予定で、下水道は避難指示解除準備区域で復旧予定。道路は、常磐自動車道が一部1車線ながら全線開通。町内の道路は帰還困難区域を除き平成29年3月までに8割程度復旧見込み。なお、帰還困難区域は28年度災害査定見込み。鉄道は、浪江以北は平成29年度春に再開見込みで、浪江以南は32年春に全線開通見込み。

産業の復興 2次3次産業は、被災前の事業所(約1000)すべて営業中止、平成25年7月に2事業者が事業再開、平成28年4月現在21事業者が町内で営業中、28年10月に10店舗程度の役場敷地内の仮設商業施設を作る。なお、事業者の営業再開率は商工会加盟の626社中町外を含み36%となっている。

産業の再興 1次産業は、農業について平成26年度より、水稲の実証栽培を開始し、全量全袋検査で異常なく27年度より販売開始。花卉は平成26年度より、トルコキキョウやリンドウの実証栽培を開始し、市場出荷。17行政区で11復興組合が活動中。漁業については、請戸漁港へ28年度中に漁船が帰還できる見込みで30年度には漁港全体が完了予定。

住まいの再建 町外整備公営住宅が約2500で入居決定が1233、入居開始が256となっている。また、町内には町内2か所に災害公営住宅を約100戸、公的賃貸住宅を80戸再生整備予定。

 

健康管理 放射線による健康被害の未然防止、健康不安の軽減のために平成24年4月に町独自にホールボディカウンター導入をはじめ、全町民に放射線健康管理手帳を交付、甲状腺検査、バッジ式積算線量計の貸出など独自の取り組みを進めている。

 

学校教育 発災時の町内6小学校・3中学校に約1700人が避難先の全国350小学校・220中学校に約1340人就学している。二本松市で再開した小中合わせて28人が在学している。平成29年4月町内で小中一貫校及び子ども園の再開を目指している。

つながりの維持 復興支援員制度を設け7県に26名を配置し戸別訪問などのきめ細かい支援をし、県内にコミュニティ支援員を置いた3か所の交流館を開設して県内外で交流会を開催している。また、広報なみえに綴じ込んだ「浪江のこころ通信」発行やタブレット端末を活用した「なみえ新聞」を発行して、「きずなの維持」を図っている。

復興まちづくりの考え方 平成27年9月のアンケートによる町民の避難指示解除後の帰還意向は、
  戻りたい17.8%(すぐに33.7%、いずれ58.7%、無回答7.6%)
  判断つかない31.5%、戻らない48.0%、
  無回答2.7%
となっている。町は「復興まちづくり計画」(平成26年3月策定)避難指示解除後の当面の町内人口想定を25000世帯5000人(町外と2地域居住する世帯を含む)とした。浪江町全体の復興拠点を現在の避難指示解除準備区域として、段階的に西方へ整備地域を拡大していく。

当面、復興拠点の中心に浪江町役場とし、住まいや生活の場、働く場や交流の場を設けコンパクトに整備していく。

復興まちづくりの目指す姿 「双葉郡北部の復興拠点を担う」

・原子力に依存しない、エネルギー地産地消のまちづくり:再生可能エネルギーを活用し、少ない電力を効率的に利用(スマートシティ)

・新しい農林水産業のデザイン:既存の農林水産業の再生・先端技術を活用した花卉や施設園芸の導入・ロボットを活用した新しい農業スタイルの実証・CLT(直交集成板)などの新技術の導入‥‥‥など。

・防災対策・防災研修拠点、防災ロボット開発拠点をはじめ、原子力災害の教訓知見の継承・世界へ発信するためのアーカイブ拠点を目指している。

・国の「イノベーション・コースト構想」とも融合するまちづくりを通して、双葉郡全体の復興に寄与する
 

【所感】

①東日本大震災から5年2か月が経過し、マスコミ報道等が少なくなっている中で、復旧復興に向けて多忙な中で視察を受けれ頂いたことに感謝申し上げたい。また、役場までの車中から見た町の様子は、5年余り手つかずの街並みの様子や除染中という黄色い幟旗の立った土地、フレコンバッグが高く積まれた場所などおおよそ復旧復興には程遠い印象は否めなかった。

②発災時の情報混乱や情報途絶の中での住民避難は困難を極めたことは想像に難くない。特に、国や県、東京電力に対する怒り、原子力通報連絡協定が無力だった点には我々もUPZ30㎞圏内の住民を抱える自治体として他人事ではない。

③津波被災については、請戸地区には小学校があったが毎年の訓練により、後方の高台に避難して犠牲者を出さなかった点は参考にすべきである。現地を見たが建物の3階部分まで津波が押し寄せた形跡があり、周囲の木造家屋は基礎だけになっていた

④除染について、面積の81%を占める帰宅困難区域については、全く目途が立っていないようで街づくりにも大きな影響を与えている。汚染度尾一時保管場所や中間貯蔵施設など課題は多い。

⑤住民の健康管理やコミュ二ティ形成への努力が感じられたが、機関についての住民のアンケートにも表れている通り、発災当時の人口約21,000から約500人の帰還を想定した計画でスタートせざるを得ず、ここにも原発事故の影響が表れている。

⑥現在、環境省の除染作業や東京電力の片付け作業員約4,000人くらいが日中に働いていたが、平成29年3月に避難指示解除された後、役場本所機能の移転など職員の方々の苦労はますます大きくなってくると考える。復興の基本方針、被災体験を次代や日本に生かす~脱原発、災害対策~を全力で進めてほしいと考えるとともに、見守っていきたいと思った。

⑦最後に、「熊本地震にお見舞いを申し上げるとともに、東日本大震災を風化させないで欲しい。更に、そのような危険な状況で川内原発の再稼働路許している国や自治体に対して『東日本大震災を教訓にしていない』と申し上げたい」との言葉に、改めて考えさせられた。


 

【日程】   2016年5月25日(水)午前9時~11時

【場所】   だいJOBセンター (川崎市川崎区駅前本町11-2フロンティアビル5F)

【対応者】  川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室担当課長 加藤 弘 ・ 担当係長 称宜 正太郎
        センター長 吉田 直弘

【調査事項】 川崎市だいJOB(じょぶ)センター 川崎市生活自立・仕事相談センター

【内容】     川崎市生活自立・仕事センター(だいJOBセンター)の概要及び就労支援について -

【センターの概要】
 だいJOBセンターは、昨年4月1日生活困窮者自立支援法が施行されて、平成25年12月に開設。失業等による経済的な問題とあわせて、精神的な問題・家庭の問題・健康上の問題などさまざまな課題を抱えた方を支援する為川崎市が設置する無料の相談窓口で、利用条件は
(1)川崎市内に居住、就労又は就学している
(2)失業等で生活に困っている
(3)生活保護を受給していない
(4)ホームレスではない
要件をすべて満たす方で、事業内容としては、相談者の課題を整理した上で自立への最初の一歩をサポートしながら、専門相談員による窓口・手続きへの同行等きめ細やかな支援により自立をサポートされている。

【相談の状況】
 相談者の支援をセンターでの継続支援と、他機関への連携・引継ぎ等支援類型別に取り組まれていて、センターでの支援では、例えばAさん(男性・40歳代)失業とともに、国民健康保険料の滞納と多重責務を抱える。再就職の支援と同時に、保険料の分割納付手続きの同行、法律相談による多重責務の整理を支援。他機関との連携で言えば、Eさん(男性・60歳代)2年前に退職した後、貯金を取り崩して生活していた。心臓病のため、医師から就労不可と言われる。手持ち金が500円を切っていたため、福祉事務所へ同行等、相談者の状況にあわせた支援を行っている。

【就労支援の状況】
 昨年度の実績は、対象者505人のうち就職者330人、就職率は65.3%で、相談者の段階に合わせた就労支援を行うことで、就職をサポート
①一般就労が可能だが、採用されにくくなってしまっている人⇒平成26年5月から60歳以上の高齢者、ひとり親の父母、長期無業者、刑余者等の専門の求人を開拓する「しごと応援事業(生活困窮者就労支援事業)」を開始。
②希望就職先がなかなか決められない人、就労意欲が減退している人⇒職業紹介権を活かした、職場見学、市内の求人を開拓し、相談者と一緒に職場見学や、採用面接への同行、出勤初日の同行。
③長期間就労から離れていた等段階的な支援が必要な人⇒座学と就労体験を組み合わせた就労準備支援事業、親の介護で長く就労から離れていた人や、就労経験が乏しい人に紹介。
④障害や精神疾患が疑われ一般就労が難しい人⇒病院や行政窓口への同行・手続き支援、障害者総合支援法等の枠組みを利用した就労支援。
⑤定着支援⇒3か月間の定着支援を徹底。・仕事終わりの面接・電話で困っていることや悩みを聞く・求人開拓を活かし、立ち寄った際に会社に就労状況を確認。
     企業支援⇒忙しい採用担当者のフォロー、業務に見合った求職者の紹介。

【支援における川崎市の工夫 】
①入り口の工夫として、「お困りの方、相談に来てください!」では、来ない⇒情報の網を張る。地域包括支援センター・年金事務所・保険年金課・保育園・不動産店等、これまでに困って、相談にこられている窓口での案内。
②出口の工夫⇒独自求人情報の確保として、求職者の能力・意欲・希望条件に応じた求人情報の獲得。企業支援の観点からは、企業に対して、人材の提案、定着の提案、制度の提案。

【所感 】

 約2時間にわたっての視察でしたが、担当者の丁寧な説明、意識や意欲を持った取り組みに大変学ばされました。川崎市も全体としては、2.18%の保護率ですが、区によっては、5.48%と保護率もかなり高い現状の中から、最後のセーフティーネットととしての生活保護制度に行く前の支援を取り組む場所としてのだいJOBセンターの活動ですが、報告にもあるように、相談者の段階に合わせた就労支援ということで、きめ細やかな支援をされています。
 同時に、受け入れ口の確保として、多くの企業を回りながら努力をされています。一方で、企業の方も、業務に見合った求職を求めていることもあり、協力できる条件もあることが伺えました。
 さらに、受託者が「中高年事業団やまて企業組合」という、これまでノウハウを持っているということも特徴でした。担当者の話によりますと、「相談できたことで良かった」という利用者もおられるようです。
 鹿児島市においては、受け入れ企業も含めて課題は、まだまだありますが、川崎市の取組みは大いに学ぶことができました。




視察報告-仙台

出張者:ふじくぼ博文

【日程】   平成28年10月14日、15日 

【場所】   宮城県仙台市 仙台サンプラザホール

【調査事項】  (1)第36回地方自治研究全国集会 全体会出席
        (2)    〃       第10分科会出席

【内容】

(1)全体会(移動時間の関係で②から出席)
  ①開会行事等
  ②地元歓迎オープニングアトラクション
   (聖和学園高等学校吹奏楽部の皆さんの演奏)
  ③記念講演「宮城の未来、復興へのまちづくり」
    増田 聡(東北大学大学院経済学研究科教授 地域計画担当)
  ④パネルディスカッション
    希望の光を地域から 
     ~若者も高齢者もいきいきとくらせるまちづくり~
    コーディネーター 大江 正章(コモンズ代表)
    第1部パネリスト
     ・平子 昌彦(JF宮古漁協青壮年部部長、青年漁業士)
     ・鈴木 美樹(鳴子「さとのわ」主宰)
     ・佐藤 彌右衛門(会津電力株式会社 代表取締役社長)


    第2部スピーカー
     ・佐藤 喜広(認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークコーディネーター)
     ・北川 進(宮城県社会福祉協議会震災復興支援局主任主査)
     ・笹川貴吏子(立教大学大学院社会学研究科博士後期課程)
     ・水沼真由美(にいがたイナカレッジ2015年度インターン生)
  ⑤閉会行事


(2)第10分科会「公共交通は誰のもの?みんなのもの!!」
  ①開会
  ②講演 「持続可能な『みんなの地域公共交通』の実現をめざして」~現状と課題を踏まえ、先進的取り組みに学ぶ~
       嶋田 暁文(九州大学大学院法科研究院准教授
  ③レポート報告
      「持続可能な地域公共交通をめざして」~『人』と『まち』・『暮らし』をつなぐ
       中川 早苗(宮城県大崎市)


      「移動を支える いのちをささえる」
        ~災害から見えてくる‟平時”の備え~
        村島 弘子(NPO法人 移動支援Rera)
   ④質疑
   ⑤午前閉会(移動時間の関係で⑤まで出席)
   ⑥午後 地下鉄東西線フィールドワーク(駅舎、車両基地ほか)
       チェックシートをもとに公共交通のあり方について考える



【所感】
(1)記念講演について
 増田教授は、全体として宮城県や岩手県は震災から着実に復旧復興しているものの、福島県は原発被害からの復旧復興は遅々として進まない印象は否めないと指摘し、福島県の難しさを示した。その中で、今でいう「地方創生」の論議を先取りした形で人口減少社会を予見した各県とも総合計画を策定していたが、変更を余儀なくされた現状を明らかにした。では、復旧復興のための事業がそれらの総合計画とどの様にリンクし効果を発揮するのか、画一的な施策では益々過疎化高齢化に歯止めがかからないと指摘し、例えば防災や減災の土地利用のコントロールによる市街化を抑制する地区の有無で沿岸部を使わなくなると伝統的な産業構造が大きく変化し、内陸に居住することでの人口減少が発生すると指摘している。
 また、東北経済の復興に関して「シナリオ・プランニング」という手法を用いて、4つの不確実性と復興における7つのシナリオを導き出している。

 

 2011年時点で、10年後を展望してのシナリオが描かれているが、5年経過した現時点で、個々の施策の到達点はあるものの不確実性の③レベルと思料される。そういう意味で今後を見据えると今が極めて重要な時期といえる。

(2)パネルディスカッションについて
① 第一部はテーマを「ナリワイ」としてコーディネーターの大江氏を中心に、震災・津波・原発事故を乗り越え、「自然」と「資源」と「人」をどの様に組み合わせて、生活できる仕事を創出するか、その時、地方自治体は何をすべきか。また、国主導の地方創生事業による人口増加施策ではなく、地元の魅力と創造で、どのようにしたら、UIターン者を増やすことができるかが話し合われた。
大江氏が豊かさとは何か、幸せとは何かとして、今日の農村回帰に触れ、多くのリタイヤした方や若者が農村に入り、有機農業などに取り組んでいる姿を紹介し、問題提起した。
平子氏は、25歳で義父に師事しホタテ養殖漁業に従事したが、震災で船や機械類を一切失った経験し復興、今日、中核的な漁業者として体験型観光やオーナー制を見据えた漁業を検討し「顔の見える関係」を模索している。また、漁業者として後継者育成について自治体からの補助が何もないと指摘した。
鈴木氏は、震災当時はOLとして東京で働いていたが、仕事や人間関係に疲れていた時、内陸部の「鳴子」の湯治文化に魅せられ「温泉マルシェ」取得、移住を決意した。地元のお母さんたちに教わる「里山ご飯を食べに行こう」、森林インストラクターと歩く「五感を呼び覚ます森歩き」などの活動を通じて現在は、地産地消の「里山カフェ」を経営している。海と山の連携、食べることは生きることと厳しい自然を享受しながら満足して情報発信をしている。
佐藤氏は、226年続いている造り酒屋の9代目当主として、東日本大震災を経験。地域の豊かな資源からエネルギーを作り出すことを決意し、公共的株式会社会津電力株式会社を設立し、現在代表取締役社長。会津は元来、「四方四里」すべてが自給できる土地柄、「百姓は全てを自分で賄う、足元を見ると全てある」の精神で、脱原発地域分散型エネルギーに取り組んでいる。
3氏とも、自然と資源をうまく活用し、あわせて人的資源開発を加えることであまり自治体の手を借りずに企業化している。本市に於いてもまったく同様とはいかないまでも示唆に富んだ事例であると考える。
② 第2部はテーマを「地域づくり」として二つに分け、まず復興がんばるトーク~被災地におけるコミュニティの再建ついて、行政の指導でもなく、大きな声だけを反映する復興でもなく、みんなのたまり場や小さなささやきから生まれた温かな復興の芽や兆しは何か、その成果は何かがコーディネーターの大江氏を中心に語られた。
 佐藤氏は、自身で軽運送を経営し宅急便の下請けをしていたが被災し車両が流出し契約解除され、NPO法人のスタッフとして活動開始。支援物資の配送からはじまり、仮設住宅やみなし仮設の声かけ、見守りやボランティアの受入れ、災害公営住宅や高台移転の引っ越しボランティアなどを続け、現在、公営住宅のコミュニティづくりの支援を行っている。
 北川氏は、県社協から震災後石巻市に出向し被災者支援事業を担当し、業務の範囲の中での限界を感じ、自主研究会「宮城の地域福祉を考える会」を立ち上げ「なんとかしなきゃ」の意思のある仲間と地域づくりを実践している。
 両氏とも、仮設住宅やみなし仮設の中での「孤独死」について、入居時点でコニュニティーに配慮した配置など工夫が必要で、声かけや見守りは何もない現代社会でも必要性が叫ばれていることを考慮するとやはり入居時点での行政の配慮を指定されており、今日の大規模あるいは複合災害が懸念されている本市でも、如何に被災者に寄り添うかが十分配慮しなければならないと考える。
③ 第2部の後段、地域おこし女子トーク~ヨソモノ・ワカモノによる地域づくりについて、ムラに溶け込むためには、若い女子だからこそできる、チャレンジコミュニティ手段(秘策)とは何か。ヨソモノ・ワカモノの視点による成功例を語った。
 笹川氏は、立教大学大学院社会学研究科博士後期課程に在学中で、2011年4月より常陸太田市地域おこし協力隊Relier(ルリエ)として、同市美里地区に赴任し、文化と教育面から地域づくりに携わり、現在も住みながら持続可能な地域づくりの研究を行っている。
 水沼氏は、法政大学福祉学部在学中に休学し、Iターン留学にいがたイナカレッジに参加。新潟県十日町市の直売所を拠点に農業や地域づくりを学び、移住女子として地方の暮らしを情報発信している。
 両氏とも、女性特有の細やかな視点と若者らしい大胆な発想で旧来の農村社会に新たな息吹を吹き込んでいる。溶け込むことには苦労もあったと思料されるが、受け入れ団体や地域の人々とのコミュニケーションで成果を上げていると思われる。本市においても大学との連携や受け入れ団体養成など示唆に富んだ取り組みだと思う。


(3)分科会
① 嶋田准教授は、地域公共交通の重要性や課題、あるべき姿などについて国の法体系の推移と地方自治体の取り組みなどを例示する中で持続可能な地域公共交通を如何に実現するか、住民の移動手段の確保はもとより、特に移動制約者(障がい者・児、高齢者など)の移動手段をどの様に確保するかが行政の役割と指摘した。
 本市においても交通不便地などを中心に赤字路線維持の補助金、コミュニティバスである「あいバス」や「デマンドタクシー」などが住民の移動権を確保するために取り組まれているが、多様な交通モードとその適合性について実態とメリット・デメリットについて検証を加える必要性を感じた。
② 中川氏は、大崎市が1市6町の合併で、市域が約800㎢、東西約80㎞と長大となり、旧自治体が行っていた住民サービスを継承し、地域によりサービス水準が異なっていたことから一体感の醸成やサービス水準の平準化などの論議を踏まえ、公共交通再編計画を策定し基本方針・整備方針を定めた経緯を説明した。また、交通政策基本法が成立し、地域公共交通活性化・再生法が改正され、それに基づき協議会を設置し課題を整理する中から網形成計画を策定したとの事で、本市においても同様に公共交通ビジョンを策定中であり、課題等を検証することが必要であると考える。
③ 村島氏は、震災から4日後からボランティアとして福祉車両や民間救急車を用いた移動支援をはじめた。今日、公共交通が利用できない住民をガソリン代等の実費負担をいただく形で地元のNPOに引き継がれている。発災直後から時間の経過とともに移動困難者が変化してくるとともに、災害により地域が内包していた様々な課題が顕在化し、外出することはただ移動することのみならず「生きる」ことそのものに作用するとの指摘は示唆に富んだ考え方であると思う。