視察報告-新潟・長岡・高崎

出張者:秋広正健・森山きよみ・ふじくぼ博文・大森忍・中原ちから・平山タカヒサ

【日程】   平成29年 1月24日 (火)

【場所】   新潟県新潟市

【調査事項及び対応者】 
・空き家活用のためのリフォーム支援について
・地域提案型の空き家活用への支援について
   新潟市建設部住宅環境政策課 課長補佐・住宅環境整備室長・新潟市建設部住宅環境政策課係長

・にいがた未来ポイントについて
   新潟市保健衛生部保健所健康増進課課長補佐・新潟市保健所健康増進課健康づくり支援係主査
   新潟市環境部環境政策課環境企画係主幹

【調査内容】
(1) 空き家等対策の取り組みについて
① 新潟市の空き家等の現状と課題

 平成25年度の空き家数は5年前と比較し約2000戸の増、「その他の住宅」は約7000戸の増にある。課題として、住まいの引き継ぎに対する意識の啓発、良好な住環境の保全・改善や空き家等の活用と中古住宅流通の環境整備などの整備の必要性が浮き彫りになった。

② 空き家等への対策
「新潟市空家等対策計画」を策定
 目  的:空き家等対策の方向性を明確にし、効率的・効果的に推進していくとともに広く市民に周知を図る。
 基本方針:空き家等の所有者等による管理の原則
       地域(市民)・関係団体との連携
       空き家等への対応
 期  間:平成28年度から平成32年度までの5年間

 具体的な取り組みとして、空き家等対策の推進に関する連携協定の締結、空き家に関する啓発パンフレットの作成や空き家の活用に関する支援事業などが本計画に盛り込まれている。 
この中で特筆すべきは、周知・啓発など空き家等対策に連携・協力して取り組む事を目的にとして、不動産、法務、建築などの関係13段と連携協定を締結する予定であることだ。(※平成29年1月25日に締結)空き家の所有者、利用希望者や地域・市民に対し市と連携協力し、意識啓発・情報提供・専門的な相談対応などを行う予定としている。


  ※ 参 考 主な協定締結団体
    不動産 新潟県宅地建物取引行協会 全日本不動産協会新潟支部
    法 務 新潟県弁護士会 新潟県司法書士会
    建 築 新潟県建築士会 新潟住宅相談協議会
    解 体 新潟市解体工事業協会
    管 理 新潟市造園建設業協会
    相 談 全国空き家相談士協会新潟支部など13団体


(2) 空き家活用のためのリフォーム支援について

① 事業目的:空き家利活用の促進を図るため、福祉活動や住替えといった空き家活用をする場合に、そのリフォーム費用の一部に補助を行う。平成28年度予算で約3600万、財源は一般財源より支出。

② 対象となる空き家活用用途

(3) 地域提案型の空き家活用への支援について
① 事業の目的
 地域住民の主体的な取り組みによる「空き家の活用」や「空き家を除却した後の跡地の活用」を支援し,空き家を資源とした「まちづくり」や「地域コミュニティの活性化」を図るため,『地域提案型空き家活用事業』を平成26年度にモデル事業として創設し,平成27年度より本格実施している。予算は約680万円(平成28年度)。

② 事業の概要    ※ ステップ1は2カ年まで利用可能。ステップ2は交付金を活用


③ 募集の対象  調査研究事業を実施する団体 5団体(H28年度予定)

④ 応募資格
・以下のいずれかの団体であること
  自治会,町内会
  地域コミュニティ協議会
  その他営利を目的としない団体(NPO法人,まちづくり団体など)
・本事業を年度内に適切に実施できる体制であること
・宗教団体,政治団体,暴力団等でないこと

(4) にいがた未来ポイントについて
① 事業概要
 市民の環境・健康に配慮したライフスタイルの普及拡大を図り、「環境健康都市」を実現するため、市民のエコ活動・健康づくりにポイントを発行する事業。対象事業へ参加して、りゅーと(交通系IC)カードやおサイフケータイにポイントをため、1,000ポイントで新潟市商品券またはバス乗車ポイント(千円分)に交換できる。健康部門の「にいがたし健幸マイレージ」と環境部門の「エコアクションキャンペーン」が連動し、どちらの活動に参加しても「にいがた未来ポイント」が貯められる仕組みとなっている。

【所 感】
 総務省統計局平成25年住宅・土地統計調査よると、全国の空き家率は増加の一途で、平成25年においては空き家数が820万戸、空き家率が13.5%となっている。本市においても、13.6 %と全国平均を僅かではるが、上回っている。空き家対策の一環として、本市では、国の法整備前に、鹿児島市空き家等の適正管理に関する条例を制定し取り組みを行っているが、問題の抜本的な解決には至っていないのが現状である。
 新潟市では、「新潟市空家等対策計画」を基軸に、「空き家活用リフォーム推進事業」や「地域提案型空き家活用事業」などを展開し、法令整備だけでなく実効性のある施策を実施している印象を強く感じた。新潟市にお伺いすると、単に費用補助するだけでは目ざましい効果は得られない。まずは所有者に当事者意識を持っていただけるよう取り組むと同時に、補助に関しても、「空き家活用リフォーム推進事業」や「地域提案型空き家活用事業」など地域を巻き込んだ形で取り組むと共に、そこに、役所や関係団体を活用していただいてより良い住環境やまちづくりに繋げなければならいとお答えになった。
また、各事業は多くの庁内の部署にまたがっており、庁内連携はどのように取られているのかとお聞きしたところ、連携を緊密かつ持続的なものにするため、庁内連絡会議を設置し、情報の共有化と体制の強化を図っておられるとの事。
 このように、各種施策を展開すると同時に、地域や関係団体、庁内の連携を図り取り組む姿に感銘を受けた。本市においても、条例整備は済んでいることから、次にどう繋げていくのかが課題であると考える。より実効性の高い対策を考える上でも新潟市の取り組みは参考になると思う。
 にいがた未来ポイントについては、新潟市の施策に市民の関心を向けるための事業ではあるが、将来的には、地域活動に参加するとポイントが貰えるなど様々な展開が考えられることから今後に注視していきたい。

 

 

 

【日程】   平成29年1月25日 

【場所】   新潟県長岡市

【対応者】  長岡市総務部行政管理課長・主任

【調査事項】 指定管理業務のモニタリングと評価について


【内容】
 長岡市では、指定管理者制度を導入している施設を安全・安心に管理し、施設サービスの向上を目指して、指定管理者や業務に対する監視(モニタリング)、指定管理業務に対する評価を行っている。また、指定管理者の選定にあたり、透明性と公平性を高めるために外部の各分野の専門家や公認会計士などから成る指定管理者選定委員会(4分野、計20人)を設置している。

(1)指定管理者制度の導入状況(28年4月1日現在)
   ①導入施設 158施設
   ②制度運用中止施設 12施設
   ③現在導入施設 146施設
(2)施設種類別導入状況
   ①スポーツ・レクレーション施設(体育館・野球場等) 51施設
   ②産業振興施設(道の駅・商工物産館等) 15施設
   ③都市基盤施設(駐車場・斎場等) 17施設
   ④文化教育施設(劇場・図書館等) 39施設
   ⑤社会福祉施設(高齢者センター・デイサービス等) 36施設
(3)指定管理業務のモニタリングと評価
   ①サービス向上のための仕組み

      

   ②指定管理業務の評価

≪評価の種類と評価者等≫

評価の種類 評価者 実施時期 評価の概要
自己評価 指定管理者 毎年度 事業報告書のチェック項目等により、事業計画の履行状況について自ら行う評価
業務評価 市施設所管課 毎年度 日常的なモニタリングや事業報告書に基づき計画の履行状況を確認する評価
総合評価 選定委員会 期間中
1~2回
施設所管課が行った業務評価や必要に応じて実施する現地視察に基づき、第三者の視点から行う総合的な評価

 

≪事業報告書のチェック項目等の評価基準≫

評価 基        準
AA 提案された事業計画を上回る優れた管理運営が行われている
・各項目の確認結果(評価)にAAがあり、その他はAである
A 事業計画書の90~100%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)が全てAである
B 事業計画書の70~90%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)にBがあり、Cではない
C 業計画書の50~70%程度を実現
・各項目の確認結果(評価)にCがある

 

≪評価の区分≫

評価区分 備   考
施設の管理運営に関する事項 全ての施設で評価を実施
事業の実施に関する事項 指定管理業務として事業を実施する場合は評価を実施
サービス向上に関する事項 全ての施設で実施


≪評価結果の活用≫
・評価の結果、さらなる努力が必要とされた施設、あるいは改善が必要とされた施設は、指定管理者に対して具体的な指導を行う。
・指定管理者のアイデアをさらに引き出すよう、市と指定管理者の意見交換に努め、より質の高いサービスを利用者に提供していきたい。


③モニタリング及び評価制度の改正について
 平成25年度の業務評価から評価方法等を変更した

≪事業報告の変更≫
・確認項目を施設ごとに変更可能とした
・評価のための確認根拠を明確化した
・指定管理者、市の双方が施設管理運営に係る課題を記載し、共有する

≪評価表・方法の変更≫
・指定管理者の自己評価、施設所管課の業務評価は従来通り毎年実施
・選定委員会が行う総合評価を、指定期間1年目(課題提起と改善点の指摘)と4年目(1年目の指摘事項の改善の確認)に事業評価を実施


(4)その他の取組
   ①「先進事例研修会」平成27年から管理能力向上のため他の自治体で先進的な取組を行っている指定管理者の
     講演会を開催した
   ②「利用者満足度調査」平成27年から年間に一定期間を設けて利用者全員に声掛けして集約している


 

【所感】


(1)長岡市は、平成15年に指定管理者制度が設けられた当初から、指定の透明性あるいは公平性を確保するとして制度運用の段階から、指定管理者選定委員会を設置するとともにモニタリング及び評価制度を確立し、条例化をして実践していることは特筆すべきことである。

(2)モニタリングの様式について、指定管理業務事業報告書(兼業務チェックシート)を活用して、評価のための根拠を明確化しているとともに、指定管理者、市の双方が施設管理運営に係る課題を記載し、共有している点などは本市でも考慮する点ではないだろうか。

(3)評価について、結果を出すことが目的ではなく、評価結果CをBにあるいはAに上げることで市民サービスが向上することが目的であり、平成25年度の変更当初は厳しいとの声もあったが、具体的に一定基準を設けたことで「見える化」となり、指定管理業務の改善につながったとの説明であり本市でも検討の余地があると思う。

 

【日程】   2017年1月26日(木) 10時~11時30分

【場所】   群馬県高崎市

【調査事項】 ①空き家緊急総合対策     ②まちなか商店リュニアル助成

【内容】

①空き家緊急総合対策


≪高崎市の空き家状況≫
   市内住宅戸数  約178,220戸
   空き家戸数   約 26,450戸
   空き家率    14.8%(全国13.5%、群馬県16.6%)

≪空き家緊急総合対策事業を行うに至った経緯 ≫
 担当者の説明によると、「空き家は個人財産であり、所有者が自己責任で適正に管理すべきものですが、空き家増加を起因とする社会問題の拡大、多様化を受け、行政としても空き家の減少、空き家問題の解消につながる対策を講ずるべきであると考えた。又、市長は、空き家問題は地方都市の重要課題ととらえ、平成24年度から空き家対策の施策について関係各課を集めて検討を始めた。」
 さらに、平成25年の11月から12月にかけて、空き家と想定される約500件の戸建て住宅についての調査と、住宅土地統計調査の推計結果を受けて、空き家解消に向けて、老朽化した空き家の除去と利用可能空き家の活用を同時に進める必要があることから、平成26年6月から高崎市独自の取組みである空き家緊急総合対策事業を開始した。


≪制度の概要≫
 高崎市の制度は、平成26年度から空き家の管理、解体、活用の3本柱で制度1~7により総合的に手厚く支援し、平成28年度からは新制度として空き家を事務所(オフィス)や店舗として活用する場合に、改修費の補助を行う制度を付け加えました。(制度8)

予算/年度 26年度 27年度 28年度
当初予算 1億円 1億円 1億円
補正予算(1回目) 1億6000万円 1億円 5000万円 1億6000万円
補正予算(2回目) △2500万円 △3500万円  
合  計 2億3500万円 1億6500万円 1億5000万円

 (当初予算と補正予算)

≪実績状況≫

【26年度助成件数と助成金額】                           (単位:件/千円)

【27年度助成件数と助成金額】

【所管】

 高崎市の場合、条例を制定して事業を行うということではなく、補助事業として実施していることが特徴ですが、当初予算が約1億円であったのが、平成26年度では2億3500万円を支出しているように、多額の予算を使っています。
 例えば、老朽化した空き家を解体したい場合、【制度2の解体費用の一部を助成】では、周囲に危険を及ぼす恐れのある老朽化した戸建て住宅及び店舗併用住宅の空き家(おおむね10年以上空き家状態)が対象となりますが、解体費用の5分の4、上限100万円の補助であり、多額の補助であるということから、平成26年度、平成27年度共に大きい実績となっています。
 このことに対しては、「まずは実効性をあげる」ということと、市長の決断が大きかったということでした。又、空き家の再活用ということで、空き家をサロンで借りる場合【制度5】、家賃の5分4、上限5万円(月額)を助成するなど、空き家の再活用ということでは、学ばされた視察でした。



②まちなか商店リュニアル助成事業

≪事業を行うに至った経緯≫
 担当者の説明によると、市内の300店舗を対象に聞き取り調査を行った結果、約20%の店舗で、「店舗の改装を考えているが、なかなか資金がないので踏み切れない」等々の状況から、高崎市は、商業の活性化を目的に、商売を営んでいる人、又は営もうとする人が、「店舗等の改装」や「店舗等で専ら使用する備品の購入」を行うことに対し、その費用の2分の1を補助する事業を平成25年から開始しました。

≪実績≫

平成25年度 687件 4億2000万円
平成26年度 473件 3億2800万円
平成27年度 492件 3億8000万円
平成28年度 442件 3億4900万円


【所管】

 空き家緊急総合対策事業と同じように、まちなか商店リュニアル助成事業も多額の予算を執行
していますが、助成を利用したお店で言えば、「うちのような小さい店は、この先どうなるのか
と不安がありました。ですが、補助金があることを知り、市から応援してもらえるんだと思い、
すごくやる気が出ました。改装をきっかけにさらに店も地域も盛り上げていきたいです。」とい
う声もあるように、商店街の活性化につながっていると思われます。
 市の担当者は、「補助金の倍以上にお金が市内をまわっている(約35億円)」なかで、売り上
げ増にもつながっています。」と報告されました。
 本市においても、中心市街地以外の商店街の活性化も求められている中で、学ばされた視察で
した。

2017年02月03日