視察報告

視察

視察報告-東京都江戸川区・仙台市

出張者:森山きよみ・ふじくぼ博文・平山タカヒサ


【日程】   2018年11月13(火)10:00~11:00

【場所】   東京都江戸川区

【調査事項】 「子どもの成長支援」特に、おうち食堂とKODOMOごはん便

【対応者】  子ども家庭部児童女性課 課長・成長支援係 係長

 

【調査概要】 

(1)江戸川区の概要と特徴
 ①総面積49.09㎢(東西約8㎞、南北13㎞)の東京都の東端、 隣は千葉県、人口695,699人、339,502世帯、平均年齢43.38歳、年少人口90,961人区立小学校 71校、区立中学校 33校、
 ②年間5,977人の出生で子どもが多く、年少人口率が高い。年間6,642件の婚姻と1,861件の離婚、23区中1番目にひとり親家庭の割合が高い。従来から地域力を活かした子育て支援施策があった。(保育ママ制度、すくすくスクールなど)

(2)従来からの子育て支援事業
 ①保育ママ制度(昭和44年~)     保育ママ200人がゼロ歳児352人を自宅預かり
 ②乳児養育手当(昭和44年~)     ゼロ歳児家庭保育への支援 月額13,000円
 ③私立幼稚園保護者負担軽減補助(昭和50年~) 月額26,000上限、入園料補助80,000円
 ④乳幼児医療費助成(平成6年~)    現在は、中学生までの子ども医療費助成
 ⑤青少年の翼(平成15年~)      中高生60人を夏休みに3カ国へ(今年はイギリス、オーストラリア、ニュージーランドへ)
 ⑥すくすくスクール(平成17年全小学校実施) 1~6年定員なしで、学校内で延べ27,000人の地域ボランティア団体が世話する。
 ⑦チャレンジ・ザ・ドリーム(平成17年~)  全中学校二年生を対象に職場体験

(3)実態把握のための調査
 ①「子どもの貧困」をはじめ、子どもや子育て世帯が抱える課題について、地域の関係者や区職員が日頃見聞きする実態、または過去に直面した事例を把握し、状況改善に資する方策を見出していくための調査を実施。
 ②調査対象:学校、すくすくスクール、保育園・幼稚園、民生児童委員、保護司、関係部署の区職員等
 ③調査期間:平成27年11月~12月 子どもの生活実態調査 約1,500人
       平成28年11月    子どもの食についての調査 約2000人
 ④調査で得られた事例
  ・学習面での課題
  ・子どもの日常生活に関する課題
  ・保護者の日常生活に関する課題
  ・経済面での課題
  ・子どもの食についての課題


(4)健やかな子どもの成長支援
 ①ひとり親家庭の学習支援の概要(予算39,569千円)
  ・えどさく先生   :大学生等ボランティアを中学生家庭に派遣(40人年36回)
  ・さくら塾     :大学生等ボランティアの中学生支援(120人年36回)
  ・さくら塾ジュニア :大学生等ボランティアの小学生支援(25人年36回)
  ・さくら予備校   :大学生等ボランティアの高校生少人数指導(30人年36回)

 ②その他学習支援
  ・放課後補習教室  :希望する児童生徒が全ての小中学校で実施(年35回以上)
  ・1655勉強café   :大学生等ボランティアが中高生指導(6館各20名週1回、予算10,498千円)
  ・進学支援     :生活保護家庭の中高生の塾代・大学受験料を助成、学習支援ボランティアを派遣
             (予算33,669千円)
  ・次世代育成支援  :生活困窮者自立支援制度の専門的な支援員による不登校の子どもの家庭訪問・
             登校の促しと学習支援(予算8,639千円)

 ③子どもの居場所づくり
  ・e-りびんぐ    :小中高生に総合的な支援を行い、生きる力を育成する。子ども食堂もある。
               (コミセン1カ所60名、週6日、予算29,321千円)
  ・なごみの家    :地域包括ケアシステム拠点学習支援として学習支援や相談活動を実施、子ども食堂も
               (10名程度、週1回)

 ④食の支援
  ・おうち食堂    : 0~18歳未満を対象に買い物から調理、片付けを行う食の支援ボランティアを派遣。
                (30世帯、年48回を上限、予算11,612千円)
  ・KODOMOご飯便:幼児~中学生程度の自己負担100円でお弁当を宅配。所得制限あり。
                (100名、年48回を上限、予算1,919千円)

(5)おうち食堂とKODOMOごはん便事業について
 ①実施の背景:
 6年ほど前から子どもの貧困が指摘され、各地でフードバンクや子ども食堂の取り組みがはじまった。一方で現在、22カ所ある子ども食堂に「来られない子ども達」をどの様に救っていくのか論議となり、29年8月から、手上げ方式ではなく、民生委員や学校の紹介でアウトリーチ型での直接支援をはじめた。

 ②おうち食堂の実施スキーム:
 市は、民生委員や学校などの情報で食事が心配な子ども達の家庭を訪問し、内容を説明し保護者の同意を得る。市が委託しているNPO法人に連絡し、買い物から調理、片付けを行う食の支援ボランティアを派遣。ボランティアはNPO法人経由で報告書を提出する。費用は支援員報酬1,250円/時間、材料費子ども一人500円(二人目250円)全て市の負担。


 ③KODOMOごはん便事業の実施スキーム:
 同様な情報に対して、家に入ることを拒まれる世帯に対して自己負担100円で(1食当たり370円区負担)、仕出し弁当組合の協力でお弁当を宅配する。
尚、対象は住民税非課税世帯としている。

 ④両事業の効果と課題:
 現在、おうち食堂を30世帯70人、KODOMOごはん便事業を48名が利用している。ボランティアの掘り起しや継続的支援、他事業の活用や応用などが課題である。

≪所感≫
(1)今回は、おうち食堂とKODOMOごはん便事業を中心に調査を実施したが、江戸川区は、従来から子育て支援事業に手厚く取り組まれてことを改めて知った。健やかな子どもの成長支援の事業実施の背景には、多くの学生や地域ボランティアの方々が関わっている印象を受けた。施策を実施する受け皿のボランティアが育っていることで施策が円滑に実施されているようだ。まさに江戸川区の「地域力」と言えよう。

(2)生活困窮世帯は、経済的な問題だけではなく、人とのつながりが乏しく地域でも孤立しやすい「関係性の貧困」とも言われ、子ども食堂の存在などの必要な支援情報を得にくいという問題も抱えている。民生委員や学校などの情報で食事が心配な子ども達の家庭を市が訪問し、内容を説明し保護者の同意を得てから始める事から、相互に理解して進められる。また、食の支援ボランティアからの報告書や仕出し弁当組合からの情報などで、対象者の就労や健康状態の把握など、新た必要な施策展開の入り口として活用できるなど、手上げ方式からアウトリーチ型の利点であろうと思う。

(3)本市においても「子ども食堂」が増えてきているが、一方で周囲から「お金がない」と見られることを気にして来られない子ども達もいると思われる。その様な子ども達の為にも導入を検討すべきであると思う。

 

 


【日時】   2018年11月13(火)11:00~12:00

【場所】   東京都江戸川区  
                           
【調査事項】 保育士サポート事業

【対応者】  子ども家庭部子育て支援課 課長


【調査概要】
(1)待機児童の現状  各年度4月1日現在

年 度 24 25 26 27 28 29 30
就学前人口 38,446 37,366 36,974 36,815 36,865 36,816 36,436
保育園申込数 3,481 3,510 3,880 4,165 4,597 4,841 5,035
保育定員数※ 11,813 11,909 11,677 11,717 12,010 12,479 13,527
待機児童数 211 192 298 347 397 420 440

  ※保育定員数:認可保育園、認定こども園(1号認定を除く)、小規模保育所、事業所内保育所、認証保育所、保育ママの定員の合計


 少子化の進行により就学前人口(0~5歳)は減少傾向ですが、女性の社会進出などにより保育所に申し込む保護者は増加しています。そのために保育施設を新設して保育定員の拡大を図っています。また、平成30年度から育児休業を継続できる場合も待機児童数に含めているため、0歳児がほぼ半数(440人中226人)を占めている。

(2)導入の背景・目的
 認可私立保育園の新増設(平成30年16園、平成31年14園)により保育需要が高まり、事業者に対する保育士確保支援と保育士の職場定着・離職防止策として実施している。

(3)事業の概要・実績
 ①1万円の処遇改善(独自)
  ・区独自に1万円の処遇改善を実施。東京都キャリアアップ補助(4万円相当)と合わせると、国の基準に対して最大月額5万円相当の処遇改善となる。

年度 件数(人/月) 金額(千円)
29年度実績 1,430 171,510
30年度見込 1,606 192,760



 ②保育士就職祝い金(独自)
  ・区内私立保育施設採用の常勤保育士等に対して区内共通商品券5万円分を給付する。

年度 件数(人) 金額(千円)
29年度実績 245 12,250
30年度見込 351 17,550



③借上げ住宅の家賃補助(国の制度活用)
 ・保育事業者が保育士のために住居を借り上げた場合に月額8万2千円を上限に家賃を補助する。(国1/2、都1/4、区1/8、事業者1/8)

年度 対象者(人) 金額(千円)
29年度実績 399 269,535
30年度見込 500 380,000

江戸川区分は、約50,000千円



④保育士向け研修会や保育施設巡回によるサポート
 ・防災や子ども達の発達、手遊びなどの研修を実施。保育の質向上や定着支援のために各保育施設を巡回する。

年度 研修(回) 金額(千円)
29年度実績 2 211
30年度見込 7 252

 



≪所感≫
(1)江戸川区も本市同様に、0歳~5歳児は減少傾向ですが、保育ニーズは高く待機児童がなかなか解消できず、保育施設を新増設して対応しているようだ。また、江戸川区は千葉県との境で、保育士不足も深刻で、保育士という人材の争奪戦となっている。独自の処遇改善や就職祝い金、さらに、家賃補助まで出しているのには驚いた。担当の職員は、都が一応32年度までは補助するようだが、それ以降は不透明との事で、事業の継続を心配されていた。

(2)保育士向け研修会や保育施設巡回によるサポートについては、退職した園長経験者など四人に委託して、就職5年以内の保育士や就任後3年以内の園長先生を対象に、集合研修や各保育施設を巡回訪問して指導している。集合研修はどこの自治体でも実施しているが、経験豊富な方が巡回訪問しての指導は、多忙な現場の労働環境を考慮すると、経験の交流をはじめ、悩みの相談など効果があると思われる。

 

 


【日時】    2018年11月14日(水)10:00~12:00

【場所】    仙台市                             

【調査事項】  
        学校給食の公会計化について
        子供の居場所づくり支援事業(子ども食堂助成事業)について

【対応者】
    仙台市子供未来局 子供育成部 子ども家庭支援課 家庭支援係 係長
    仙台市教育委員会総務企画部健康教育課  課長
 


【調査概要】  学校給食の公会計化について

(1)制度導入の背景・理由について
  包括外部監査の指摘 
学校給食実施内容の格差・不均衡
   給食会計事務の学校負担

(2)制度導入までに要した期間
     平成20・21年度  包括外部監査指摘
     平成22年度     教育局内で取り組むことの意思決定
     平成27年度     先進地調査
     平成28年度     給食会計管理システム仕様書作成業務委託
     平成29年度     関係条例制定
     平成30年度     会計管理システム開発 学校・保護者周知等
     平成31年4月実施

(3)体制・予算
     28年度1名増員 30年度1名増員 31年度から3名増員予定
     システム仕様書作成業務委託  4,931千円
     システム開発    29年度     9,008千円
               30年度    77,715千円


(4)導入効果 
     学校現場全体で、年間6,000日分(約25人分)業務量軽減

(5)制度導入後の課題
     給食費の収納率低下
     教育委員会事務局の業務増加への対応
     給食費の調定に関する学校からの報告の正確性


≪所感≫
 本市においても平成30年第三回定例会で教育委員会が「導入について検討する」と答弁したことから会派として先進地として来年4月から実施予定の仙台市の取り組みについて調査をしたが、今後、当局が検討するにあたり、非常に適切な示唆をいただいた。
 導入するという意思決定から導入まで8年かかっているが、これは3・11東日本大震災で検討が中断していることから、最低3年が必要であることから本市においても導入の時期を設定し導入の計画を策定するべきである。
 次に公会計化になると給食費が平準化されることから献立も同じになるのではないかと危惧していたが、仙台市では、自校方式83校、センター方式103校あるが、それぞれの調理場で栄養教諭が独自の献立を策定して統一した献立ではない事が明らかになった。
 また、食材の契約が教育委員会と業者となることからいわゆる「地産地消」という食育の観点や地域の農家や業者との繋がりが絶たれるのではないかという危惧があったが、仙台市では、「地産地消」の考え方を残すために一部は、契約自体を地元業者とできるようにしたとのことであったが、本市で導入する場合もこの件については、十分配慮する必要がある。
 学校の教職員の業務量の軽減については、年間で6.000日、人員で言うと25人分が軽減されるとのことであったが、給食費の徴収について現状が違うことから本市では、更に多い業務量の削減になるのではないか
 今後本市において導入するにあたっては、可能な限り先進地の視察・調査を行い、アレルギーへの対応を含めて児童生徒、保護者、学校の教職員にとって何が大切なのかについて論議を十分重ねていくことが必要であることを痛感した。

 

【対応者】   仙台市教育委員会総務企画部健康教育課給食運営係 係長

【調査概要】 子供の居場所づくり支援事業(子ども食堂助成事業)について

1.実施するに至った背景と経過について(平成29年度から検討開始)
(1)アンケート調査・支援者ヒアリング等(平成28年度実施)を受けた現状分析
  ①不安定な家庭環境から、子どもに適切な生活習慣が身につかない
  ②DVや虐待などがあると、子どもの心身の健康に影響を及ぼす
  ③困窮世帯が身内や地域から孤立し、子育てについて周囲からの協力が得られにくい

(2)施策の方向性
  ①子供が周囲との信頼関係、愛着関係を持つために大人の関わりが必要
  ②安心できる居場所と身近な支援者を目指し、子どもの健やかな育ちを応援

(3)具体的施策:子どもの居場所づくり支援事業
   子ども食堂への助成、団体のネットワーク化等


2.事業内容及び実績について
(1)目的・助成内容等
  ①学習支援・交流・遊び体験等の子どもの居場所区づくり活動が助成要件
  ②助成対象経費に食材を含む
  ③運営団体のネットワーク化に取組む(保健所への届出義務

(2)予算規模
  総事業費12,000千円
   開設助成 事業費の4/5以内(上限10万円)
   運営助成    〃     (上限20万円)
   (平成30~34年度の5ヵ年間)

(3)実施体制
  ①助成制度の運営、助成団体相互のネットワーク化を市社会福祉協議会へ委託
  ②市は助成選定時の審査へ参加、必要な情報発信に取組む

(4)事業実績(平成30年10月時点)
  ①助成決定 23団体(新規11、既存12)
  ②第1回子ども食堂関連機関ネットワーク会議(H30.9.11)を開催
    助成団体を含む25団体が参加

(5)事業の効果について
  ①助成金支出による運営の円滑化、新規立ち上げ支援
  ②団体相互のネットワーク化、運営支援(HPによる広報・寄付受入れ等)


3.今後の課題・展望について
(1)各団体の継続運営
  ①助成期間5年後の継続的な運営
  ②運営ノウハウの共有化、食材の寄付先確保等

(2)支援を要する家庭との関係構築等
  ①専門的な支援が必要な世帯をと福祉支援につなげる
  ②支援者相互の連携のあり方の模索


≪所感≫
 子ども食堂は、子どもの貧困が叫ばれた2016年頃から開設され始め、本市においても複数運営されている(本市HPでは12団体)。
 当初は貧困対策として立ち上げられたが、「貧困」との言葉から利用しづらいとの声が寄せられ、現在は、子どもから高齢者まで誰でも食事ができる地域コミュニティの場との位置づけが主流となっている。仙台市においても、その目的が学習支援・交流・遊び体験等の子どもの居場所づくり活動への助成となっている。担当者も貧困対策でないことを強調されていた。単なる食事提供だけでなく身近な支援者による見守りにより、子どもや保護者のシグナルを見落とすことなく、適切な支援につなげることが肝要のようだ。

 翻って、本市ではどうか。基本的には運営者任せの対応となっており、関連する事業として「子ども食堂ボランティア行事用保険料補助金」のみである。
 子ども食堂が子どもの居場所づくり、気付きの場と位置付け、新たな行政サービスにつなげることで、結果として貧困の連鎖を断ち切ることなればと考える。現在、子ども食堂を始めようとしている市民に対して、その経済的な支援をすることで多くの子ども食堂が市内各所で運営されることで、地域のつながりはもとより子どもの貧困の連鎖を断ち切れるようにすることが行政の使命ではないか。

 先日、「森の玉里子ども食堂」を運営する齋藤美保子(鹿児島大学准教授)と話をする機会に恵まれた。現在運営されている子ども食堂は、概ね順調のようである。また、それぞれの運営団体との連携も図られるようになったとのことであったが、全体をコーディネートする人を求めておられた。そのためには、子ども食堂を運営する団体を把握することが必要となり、助成制度を通じて団体を把握することも可能ではないか。

 

 

2018年11月30日

視察報告-自治体議員団研修会(広島)

出張者:秋広正健・森山きよみ・ふじくぼ博文・平山タカヒサ


【日程】   2018年8月20日(月)~21日(火)

【場所】   広島市



【調査内容】 8月20日(月) 9:00~10:30 

第3講座「尾道市における子ども食堂と子育て支援について」

 

1、尾道市の紹介(省略)

2、尾道市で初めての「子ども食堂」の取り組みについて
(1)きっかけは地元ボランティアからの相談
 2006年頃に「子育てサロン」を実施していたボランティアから「私たちの地区でも、食事が十分に取れていない子どもがいるので、『子こども食堂』をしたい」との相談を受けた。

(2)尾道市においても、子どもたちを取り巻く状況は同じ
 市議会で子どもたちの「要保護、準要保護の実態」など様々な議論があり、小学生6,448人に対して対象者949人約14.6%、中学生3,343人に対して対象者598人約17.9%と尾道市においても、全国的に言われている6人に1人が貧困世帯の実態。

(3)広島県内でもいくつか「子ども食堂」がすでに開設
 広島市や三原市ではすでに開設され、広島市では公共施設の使用料減免が実施されていたが、尾道市では、担当部署を含め関心が薄かった。

(4)市議会で問題提起、調査研究を要望
 2007年2月定例会で「『子ども食堂』の開設の動きがあり、市の『貧困対策プロジェクトチーム」で検討して欲しい」と質疑、「十分検討し支援の在り方を研究する」との回答を得た。

(5)市の「市民活動支援事業の補助金制度」の活用を申請
 市当局からの情報で、数年前からからスタートした「市民が提案して行う、公益性・公共性の高い新たなまちづくりに対する支援の事業」1年限りのスタート部門(上限15万円・事業費の1/2助成)、3年継続の育成部門(最大3年間で225万円(100万円・75万円・50万円))の制度があり、スタート部門を選択した。

(6)「子ども食堂」開設に向け、具体的な計画策定
 会場は地元の集会所。参加者は誰でもOKに、地域の方に食材の提供を呼びかける。保健所へ相談し、運営組織の規約をつくる。名称を「みなり はらぺこレストラン」とし、毎月第3月曜日に昼食を提供する。11時30分オープンし、13時オーダーストップ。料金は子ども100円、大人300円に決定。

(7)2017年夏にプレオープン
 地元の町内会などの団体役員を対象に8月20日にプレオープン。運営スタッフも受入れ練習、調理時間や手順を試す。当日の参加者は10人で、スタッフ17人本格実施の自信に。その後、チラシを作成し町内全戸に回覧、小中学校の児童生徒に配布、幼稚園や「子育てサロン」でも配る。

(8)2017年9月から本格実施
 当日のタイムスケジュールは、8時30分にボランティア集合、掃除と打合せ、9時から調理開始。11時30分開店、13時オーダーストップ、13時30分閉店。その後スタッフは食事をしながらミーティング、片付けして15時終了解散。 

(9)初年度は8回開催。
 回を重ねるごとに参加者も増加、3月には100食分が完売。野菜やお米の寄付があるが食材の確保が課題になった。行政とも協議、地魚「チヌ」を漁協から、「ワケギ」をJAから提供頂く。

 ◆参加者数(人)

参加人数

子ども(人)

大人(人)

ボランティア(人)

合計(人)

8月20日

0

10

17

27

9月16日

7

17

17

41

10月21日

8

17

17

42

11月18日

2

30

13

45

12月16日

20

24

15

59

1月20日

23

45

12

80

2月17日

41

33

16

90

3月17日

42

42

16

100


(10)尾道市が「子ども食堂」補助金を創設
 2018年度当初予算で「子ども食堂支援事業補助金」を創設、年間活動費10万円、初期投資10万円を助成する内容で県内初。

(11)今回の取り組みを通して感じたこと
 同じ地域に住んでいても希薄な人間関係の中で、子育て世代同士の出会いの場の提供につながった。高齢者にとっても楽しいコミュニケーションの場となった。一方で、所期の目的であった食事が十分に出来ていない子どもたちの参加については、まだまだという感じ。主催者は、継続することで子どもたちが気軽に参加できるようにしたいと語る。また、野菜を寄付することで、とても感謝され「野菜作りに張りが出てきて生きがいが出来た」との高齢者の声もあった。行政組織や関係機関、近隣の団体とも連携しながらこの事業を充実していきたい。


≪所感≫
 「子ども食堂」の立ち上げ、開催を通じての貴重な体験を伺うことが出来た。本市においても約11の「子ども食堂」がそれぞれ工夫しながら、運営されている。行政の関わりと継続性をどうしていくのか様々な課題がある。本来の目的として考えていた、満足に食事をとれていないと想定している子どもたちの参加、また、把握や声かけなど今後継続する中で克服していくとの点では本市でも同様ではないか思う。
 本市では平成30年度から鹿児島市子ども食堂ボランティア行事用保険料補助金交付を開始するとともに、各団体の協議の場を提供している。今後はフードバンクや流通・小売業界との連携の橋渡しなどが重要になってくると思う。



 

調査内容】 10時30分~12時

第4講座  被爆の実相      講師  切明 千枝子


 講師の切明さんは、1929年世界大恐慌の時に生まれる。戦前は、世界恐慌の事も、2・26事件の事も、日本で世界で東京で「何か起こっている」事は感じながらも、真相は、聞いても教えてくれないし知ることがタブーな時代であった。
 広島は、戦前「軍都」として繁栄した。日清戦争の時代、日本が初めて大規模な戦争をするに至り、大陸方面に兵士、食料、武器、馬等戦時下のあらゆるものを輸送する日本の前線基地であり、明治天皇も広島に来ていわゆる「大本営」が広島城の中に設置される。陸軍被服省、兵器省、糧秣省があり、市民は軍都としての広島が誇りでもあった。
 切明さんも県立広島第二女子高等学校に在籍し、被服省をはじめ動員に行く毎日を送る。港では、大陸へ馬を運ぶために陸から馬を乗せた船が輸送船に横づけされ、ジャッキで馬を持ち上げ輸送船に移す時の馬の寂しそうないななきが頭から離れないと話された。 
 昭和20年になると頻繁に米軍のB29が飛来し、空襲警報が鳴るが、爆弾が落ちないので昭和20年8月6日も「また来たか」という思いで8時15分を迎える。広島市の中心部の市役所等公的機関を守るために公的機関の周りの家を壊し防火帯を作っていた。二十歳以上の男性は、戦場に行っているため、また小学生は学童疎開のために市内にはいない。動員に駆り出されるのは、高等学校の女子生徒であった。切明さんは、15歳4年生。8月6日下級生の1・2年生が爆心地の付近の防火帯を作るために壊された家を片付けるために動員される。切明さんは、当日は関節炎治療のために爆心地から1・5キロ北の外科病院に行く途中であったために、爆心地にいなかった。
 朝から猛暑だったために、汗を拭いて一息ついてから橋を渡ろうと思い近くの木造倉庫のような建物の軒下に入った途端に、めくるめく閃光と共に、爆風により地面にたたきつけられ気絶。頭にガラスの破片がたくさん刺さりながらも、頭から血液が吹き出している友達を抱えながら女学校へ。壊れた校舎に行くと数人の級友が来ていて皆大けが、下級生が顔を腫らし、全身水膨れで、皮膚が肩から、太ももから全部剥げ落ち手と足の爪の所で落ちずにくっついている。皮膚を引きずったままで歩いてきていた。皮膚の中にハエが卵を産み、すぐに大きくなり、痛いので箸で一匹ずつ取ってやってもまだまだハエが群がり、死んでいった友。「水をください」と言われても、水をやると心臓が止まるので「やるな」と言われ、やれずに死んでいった友。話の中で、原爆投下後の悲惨な実態に思わず涙。 
 本人も、何とか8月中は、動けたが、9月になると髪の毛が抜け、寝たきりに。友だちを助けることができなかったこと、自分だけ生き延びた後ろめたさにさいなまれ、これで死んでいけば楽になると何度も思ったこと。しかし、母が必死になって看病し、介護してくれたおかげで何とか生き延びた。
 


≪所感≫
 原爆投下後の実態について少しは知っていたが、今回1時間半という時間でしたが、なぜ広島だったのか、原爆の投下後実際何が起こってどんな状態だったのか、その時何を考えて行動したのか、非常に生々しい証言を聞くことができた。実際に体験された方の話、証言は、非常に重かった。戦後73年経過し、被爆者も高齢になり、また、被爆者が少なくなってきている。今を生きる私たちの責任として、次の世代に被爆の実態、戦争の実態を記録し、残していかなくてはならないことを痛切に感じた。
 切明さんが最後に話されたことが印象的だった。
 「戦争は、すぐにやってくるが、平和は、心をつくし、手をつくし、力をつくして守らないと守れない!!」

 


調査内容】 8月20日(月) 13:00~14:30

第5講座 社会保障-医療・介護を中心に



1 国民健康保険の都道府県単位化
 2018年度より、国民健康保険の都道府県単位化が実施された。都道府県単位化と言っても、都道府県と市町村が共同して国民健康保険を運営する方式と言える。
 この目的は、市町村の法定外繰入のような財政補填のための公的支出を廃止し、都道府県ごとに保険料負担と医療費が直結する仕組み、つまり介護保険や後期高齢者医療制度と同様の仕組みをつくりあげることにある。保険料負担と医療費が直結する仕組みが形成されれば、医療費の上昇が保険料引き上げにストレートに跳ね返る。都道府県としては、保険料の高騰を防ぐためには、医療費抑制を図らざるを得なくなる。いわば都道府県間で医療費削減を競わせる仕組みを構築すると言ってよい。

2 医療制度改革の動向
(1)患者負担の増大
 紹介状無しで特定機能病院及び500床以上の病院を受診する場合、2016年4月から、保険外併用療養費制度の選定療養として、定額負担を患者から徴収することが義務化された。定額負担の額は、初診で5000円以上、再診でも2500円以上となる。2018年4月からは、対象病院の範囲が400床以上と拡大された。
 政令改正により、後期高齢者医療保険料の特例軽減措置が段階的に廃止される。当面2017年4月から、所得に応じて支払う所得割の軽減が5割から2割に、被扶養者であった高齢者の定額部分の軽減も9割から7割に引き下げられた。
さらに、70歳以上の高額療養費の月額負担上限が段階的に引き上げられる。当面、2017年8月より、年収370万円未満の外来の負担上限が月額2000円増の1万4000円に、入院を含む負担上限も1万3200円増の5万7600円に引き上げられ、療養病床に入院中の65歳以上の居住費(光熱水費など)が、日額370円に引き上げられた。
加えて、政府の経済財政諮問会議の「経済・財政再生計画改革工程表」で、湿布やかぜ薬など市販類似品の医療品の保険給付の見直し、75歳以上の窓口2割負担化などの改革案が提示されている。

(2)報酬改定 
報酬改定は、薬価等が1.74%のマイナス改定となったが、診療報酬本体は0.55%のプラス改定で、前回(プラス0.49%)より0.06ポイントの微増、全体では1.19%のマイナス改定となった。
 医療提供体制の改革では、看護配置も報酬も手厚い急性期病床を削減し、患者を入院から在宅へ、さらに介護へと誘導することで、医療費の削減を図ろうとする傾向が強まった。

3 介護保険制度改革の動向
(1)要支援者の保険外し
 2014年の介護保険法の改正により、要支援者の訪問介護と通所介護を保険給付から外し、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業に移行する改革が行われた。多くの市町村では、従来の事業者を総合事業の指定事業者としており、現行の単価設定を維持できなければ、これらの事業者の撤退が懸念される。
 また、保険給付では、保険者(市町村)に給付義務が生じるため、当初予算が足らなくなった場合、補正を組んで給付する必要があるが、市町村事業は事業費予算の範囲内で行うものであり、財政的に極めて不安定な仕組みである。

(2)入所資格
特別養護老人ホームの入所資格が、要介護3以上の認定者に限定された。国は、特別養護老人ホーム建設への国庫補助を廃止し一般財源化し、施設給付への国の負担を減らすなど、特別養護老人ホームの増設を抑制してきた。低年金の高齢者が増える中、入所者の限定や増設の抑制は、高齢者の行き場を失う懸念がある。

(3)2割負担の導入と補足給付の見直し
 年金収入で年間280万円(年間所得で160万円)以上の第1号被保険者に係る利用者負担割合を1割から2割に引き上げ、2015年8月より、補足給付の支給要件に資産なども勘案されることとなり、2016年8月からは、非課税年金(遺族年金や障害年金)も収入とみなされ、世帯分離して施設入所しても、一方の配偶者に所得があり課税されている場合は、補足給付の対象外となった。

(4)2017年介護保険法改正
 2017年改正法の内容の第1に、3割負担の導入がある。対象となるのは、年金収入等とその他の合計所得金額(給与や事業収入から諸控除や必要経費を差し引いた額)が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合である。月額の負担上限である高額介護サービス費があるものの、その自己負担限度額も政令改正により、2017年8月から月額4万4000円に引き上げられている。

(5)介護医療院の創設
 第2に、介護療養病床の廃止と介護医療院の創設がある。長期療養の患者のための介護療養病床は、2011年の法改正により、2018年3月末で廃止されることとなっていたが、今回、この廃止を6年間延長し2024年度末とし、その間に、新施設である介護医療院に転換させるとしている。現行の介護療養病床では、夜勤や認知症患者に対応するため看護師や介護職員を国の基準より増員している医療機関が多いが、厚労省は、新施設が医療機関に併設された場合、人員配置基準の緩和も示唆している。

(6)共生型サービスの創設
 第3に、介護保険と障害者福祉制度に新たに共生型サービスの創設がある。このことにより、障害者が65歳以上になっても、これまでと同じ事業者からのサービスが継続できることとなるが、サービス利用のための負担は解消されていない。

(7)2018年介護報酬改定
 第1に、訪問介護の生活援助が見直され、利用回数が基準を超えるケアプランを作成する場合、ケアマネージャの市町村への届け出が義務付けられ、市町村の地域ケア会議で検証・是正を行うこととなった。ケアマネの自主的抑制により利用制限が懸念される。
 第2に、通所介護では、大規模事業所(月利用のべ571人以上)の基本報酬が引き下げられ、サービス提供時間が2時間ごとの算定から1時間毎とされた。利用抑制が家族介護の負担を増大させることが懸念される。
 第3に、通所介護に、身体機能の回復実績に応じた「成功報酬」の仕組み、また、訪問介護の生活援助の基本報酬を引き下げた上で、ヘルパーと利用者が洗濯や掃除などを一緒に行う場合に報酬をアップする仕組みが導入された。改善が見込めない利用者を選別し、制度からの排除が懸念されるとともに、要介護度の改善の義務化や「自立支援」の強制は、高齢への虐待といった指摘もある。

4 医療・介護のゆくえと課題
(1)医療のゆくえと課題
 医療については、病床削減を中心とした医療供給体制改革に対し、機械的な削減をさせないためにも、自治体レベルで、地域医療構想に医療機関や住民の意見を十分に反映させることが必要である。地域医療構想の実現を協議する場として「地域医療構想会議」が位置付けられており、同会議を形骸化させず、医療・介護関係者が中心となって、どのような医療需要があり、どの程度の病床が必要かを具体的に提言していく取組みが必要である。
 医療保険改革に対しては、現在の負担増、給付抑制政策の方向を転換させる必要がある。そのためにも公費負担の拡大が求められる。

(2)介護保険の限界
 特別養護老人ホームでは、介護職員の不足で受入れ人数を制限し、空きベッドが生じている施設もある。このため介護保険施設の基準省令が改正され、人員配置基準の緩和が行われたが、介護職員とっては負担増となり離職や介護事故の増大、ストレスから虐待の増加も懸念される。
 第1号被保険者の保険料は、第7期(2018~20年度)において全国平均月額が5869円と2000年の導入時から18年間で倍以上となっている。
 担い手不足の深刻化や負担増により制度崩壊の危機に直面している。

(3)介護保険から介護保障へ
 介護保険料を所得の定率負担とするなど、所得に応じた負担とすることが求められる。ドイツの介護保険料は所得の2%と定率負担となっている。
 人員配置基準を引き上げるとともに、介護報酬とは別枠の公費で介護職員のみでなく、看護職員や事務職員などにも対象を拡大し処遇改善を図るべきである。
 施設建設費補助への国庫補助を復活させ、特別養護老人ホームの増設を進め、加えてドイツで制度化されている家族介護者に対する現金給付を、保険給付の対象としている。

≪所感≫
 講師曰く、国の社会保障制度に対する姿勢は、支出を抑制することが基本となっているとのこと。高齢化の進展に伴い、そのままでも社会保障費が増えるため、対象者に負担を求め、給付水準を下げることが企図されていることを批判し、国による財政支援など制度充実を求めるものとなっている。その根拠として、憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を掲げている。
 国家財政には限界があるのは事実だが、将来の生活不安を解消し、そのことにより経済が循環し、景気の底上げにつながるとの意見もある。「選択と集中」を社会保障に注ぎ込むことが、中長期的には、少子高齢化・人口減少社会からの脱却につながるのではないかと思う。一部の危機意識を煽り、兵器や武器に何千億円もつぎ込むよりも賢い選択と思う。
 社会保障の拡充は、国の制度のため一自治体で拡充を図ることは、厳しい財政状況を踏まえると大変困難なものである。何ができるかできないのかも含めて、最近の動きを確認することで課題を明らかにし、市民福祉の向上につなげたい。

 

調査内容】 8月20日(月) 15:00~17:00

第6講座 第3分科会 福祉「色覚多様性、色覚検査、カラーユニバーサルデザイン」

1 色覚多様性とは(「色盲」「色弱」「色覚異常」「色覚多様性」)
 ・色の見え方が一般と異なる特性
先天的な色覚異常のみならず、加齢性なものも
 ・先天色覚異常の中で最も多いのが赤緑色覚異常。
赤系統と緑系統の色の弁別が困難




 日本人男性の約5%、女性の0.2%。日本全体で約290万人。    白人男性の約8%

2 色覚検査
 1916年 徴兵検査のために石原忍陸軍軍医が考案した「石原表」を用い1921年から実施

 2003年 学校保健法施行規則の一部改正に伴い、定期健康診断の必須項目から削除

 2014年 学校保健安全法施行規則の一部改正に伴い、事前同意を得た上で保護者等に色覚に関する周知を積極的に行うよう通知

 2016年4月4日 文科省初等中等教育局健康教育・食育課事務連絡「学校における色覚検査については、(略)学校現場で混乱を生じているという報告を受けたところであり、(略)、引き続き、適切な対応を図ること」⇒児童生徒に「色覚希望調査票」を配付し、希望者に色覚検査を実施

3 日本眼科医会の圧力か?
(1)2012年文科省「今後の健診のあり方等に関する検討会」で当初項目になかった色覚に関する検査について、2013年8月開催の第7回検討会において、日本眼科医会のプレゼンがあり、2013年12月の意見書に書き添えられた。その後、2014年3月参院予算委員会で質疑があり、4月に学校保健安全法施行規則の一部改正で、体制整備と留意点が示された。

(2)2015.9.11日本眼科学会・日本眼科医会「学校における色覚検査に関する見解」を発表。学校において色覚検査を実施するよう求めた。「希望調査の例」「保護者通知文例」を例示


(3)2015.10ポスター「色覚検査のすすめ」(日本眼科医会企画)…「色覚の異常の程度による業務への師匠の目安」で職業を例示(決めつけ)


4 課題
(1)受検・就職制限…2011年労働安全衛生規則の一部改正。雇入時健康診断における色覚検査を廃止。就職に際して根拠のない制限を行わないよう通達
〇医大・美大:医学部入学時の制限についての調査(1982年)では、半数以上が制限。
1993年調査書(内申書)から色覚欄が廃止されて以降は、ほぼ解消されるが、色覚異常があっても大丈夫ということではない。

〇消防:「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク(CUDN)」2017年度「消防採用時における色覚検査の実施状況」調査結果⇒「検査を実施していない」39.9%、「検査を求めているが検査結果が採用に影響しない」10.1%理由「色弱があっても消防業務に支障がない」

(2)教育現場
  「色覚チョーク」導入-千葉県松戸市立全小中学校、柏市、兵庫県伊丹市


(3)カラーユニバーサルデザインとCUD認証
 *CUD認証:「カラーユニバーサルデザイン」の要件を満たした商品などに、認証機構である「NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)」から認定マークが与えられる。


 *経産省は、対応する国際標準との整合を保ちつつ、多様な色覚を持つ人々の安全標識に対する認識性を向上させるため、色の組み合わせに対する認識性調査により選定した色(ユニバーサルデザインカラー)を取り入れた「JIS Z 9103(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)」の改定を行った。

〇標識



〇広報物
 「東京都品川区暮らしの便利帳『しながわガイド』」
「東京都防災ブック」



〇マップ
 「徳島県鳴門市津波避難マップ」
「調布市防災マップ・洪水ハザードマップ」

〇啓発グッズ
   「カラーユニバーサルデザイン ガイドブック(福島県)」
   「カラーユニバーサルデザイン啓発チラシ(鳥取県)」

  〇ウェブサイト
   「東京都文京区公式ウェブサイト」




≪所感≫
 色覚検査が実施されていたころは、色の見え方が異なる(以下、「色覚異常」という)人に対して「色盲」と呼び、どこか差別的な感情を含んでいた。しかし、2003年の学校保健法一部改正時に、健康診断において「色覚異常についての知見の蓄積により、色覚検査において異常と判別される者であっても、大半は支障なく学校生活を送ることが可能であることが明らかになってきていること、これまで、色覚異常を有する児童生徒への配慮を指導してきていることを考慮し、色覚の検査を必須の項目から削除。」することとなった。このことにより、児童・生徒の健康診断時に色覚検査は実施されなくなり、また「色盲」という言葉も、「色が見えない」との誤解を招くとして、不適切な表現とされたとのこと。色覚異常は、治療や手術により、正常な見え方にはならないとのことから、その特性に応じた対応が求められるとのこと。
 現在、行政から住民へ提供する情報には、紙、データを問わず、カラーにより分かりやすく提供されているが、色覚異常の方には、そのことが伝わらない(伝わりにくい)ということを念頭に置いた対応を図る必要がある。日本人の男性については、20人に1人の割合で存在していることを勘案すると、命にかかわる防災マップ等は、このことが考慮されていない場合、早急な検討が必要であることから、当局へ確認をしていきたい。

 


【調査内容】 8月21日(火) 8:30~12:00

第7講座 フィールドワーク 広島平和記念公園~広島城

【行程】   広島平和資料館(東館)→ 平和記念公園内 → 広島城跡


≪所感≫
 記念公園の視察は、資料館から始められた。現在、本館は改修工事のため、東館のみの視察となった。
案内をしていただいた広島県原水禁の金子哲夫氏によると、「資料館の周辺一帯は、現在、公園として整備されているが、被爆前は、広島市の中心的繁華街としてにぎわっており、普通の庶民の生活が営まれていた。改修工事により本館周辺を掘り返したところ、黒く焦げた地盤が現れ、その一片が展示されている。資料館に展示されているものは、爆心地から数百メートル離れた場所で見つかったものが多いが、爆心地直下がどのような状態であったか。大規模に周辺の地盤を掘り起こし、現地保存するよう市に要請している」とのこと。その実現が待たれるところだ。



「峠三吉詩碑」には、被爆した詩人の峠三吉の原爆詩集に詠んだ「ちちをかえせ ははをかえせ…くずれぬへいわをかえせ」のことばが刻まれている。原水爆禁止運動が広がる中、詩がヒロシマから世界への訴えの一つとなったとのこと。



「国立広島原爆死没者追悼平和祈念館」は、国として原爆死没者に対する追悼の意を表し、2002年建立された。その銘板には「誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致しながら」と刻まれていた。あまり知られていないのが残念だ。

 

 

 


「原爆供養塔」は、納骨室に原爆投下により身元の分からない7万体と引き取り手のない814体の遺骨が納められていとのこと。現地の高齢の方は、原爆死没者名簿が納められている「原爆慰霊碑」でなく、こちらにお参りをする方も多いとのこと。

 


 

 


「原爆ドーム」近くの墓地には、原爆で死んだことを墓石に刻んでいるものがあった。原爆の悲惨さを市民一人ひとりが後世に伝えたいとの思いであろうか。

広島城は、明治期、日清戦争の大本営がおかれたこともあることから、広島市は旧陸軍の拠点であり、城内の一角には半地下式の鉄筋コンクリート造りの中国軍管区司令部防空作戦室が設置されていた。
 そこから司令官が発する情報を各地に送っており、その任務には女学生が動員され、軍人とともに業務に当たっていた。原爆投下後、倒壊を免れた作戦室から女学生の二人が原爆投下のことを他の地区の部隊に連絡したとのこと。
改めて、広島を訪れる中で、広島城の大本営跡や旧陸軍の拠点であったことを新たに知ることとなった。平和の尊さを学びなおすとともに、明治時代に大本営が置かれた場所を史跡として永久保存していたことは、いかに当時の天皇の地位が絶対的なものだったかを、垣間見たような気がした。
 今回広島を訪れたことで、あらためて核兵器の非人道性を感じられた。日本政府が、核兵器廃絶国際キャンペーンが提案している核兵器禁止条約に賛成しないことに強い憤りを覚えた。被爆者の願いでもある核兵器廃絶に向け、国への働きかけを当局へも要請していきたい。

 

 

2018年08月31日
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